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「勉強をしなさい」と叱っても、子供が勉強をしない理由

教育・子育て

テストが近いのにテレビを見ている。あるいはスマホを触っている。言うまい言うまいと思っていたが、やはり口に出てしまう「いい加減に勉強しなさい!」と。子供はしぶしぶ自分の部屋に向かいます。果たして、その子は勉強をしっかりやるようになるのでしょうか?

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叱られた子はこう考える

こんなことがあります。授業中に私語をしている生徒がいます。「授業中に私語はやめなさいよ」と、私はその子に言います。すると返ってくる言葉がこれです。「何で俺だけ言われないかんの」。

また別の例です。ある二人がけんかをしています。中に入って、話を聞いてみるとこうです。「あいつから先に手を出してきた」「いや、あいつが先に文句を言ってきた」「いや、お前が先に……」「いや、お前の方が先に……」

こんな話もあります。万引きをした子がいます。見つかって叱られます。その万引きをした子が言った言葉がこれです。「取られるようなところに、物を置いているのが悪い」

カーネギーの「人を動かす」という本に、このような言葉があります。

受刑者で自分自身のことを悪人だと考えている者は、ほとんどいないそうだ。…… 犯罪者は、たいてい、自分の悪事にもっともらしい理屈をつけて、それを正当化し、刑務所に入れられているのは実に不当だと思い込んでいる者なのである。

このような例からも、「勉強しなさい」と言われた子供の反応がどうなるか。わかりますね。

「テスト前に勉強していないとは、なんて僕はバカ者なのだろう。しっかり勉強しなければいけないぞ」などと、心の底から反省するなんて展開は、まずありえません。

通常は「ちょっと息抜きしてただけなのに、なんでそんなに怒られないといけないんだよ……ブツブツ」という反応になるでしょうね。

遠回しに注意を与える

注意すると反発します。かといって注意しないと状況は変わりません。ではどうすればいいのでしょうか? この答えも、カーネギーの「人を動かす」にあります。第四部「人を変える九原則」の第二章に「遠回しに注意を与える」とあります。これがその答えです。

実はテスト前にも関わらず、テレビを見ている子供は、「そろそろ勉強しないとやばいなぁ」とは感じているのです。そこで「勉強しなさい」と言うと、「今やろうと思ってたところなのに、それでやる気なくしたわー」となります。よくある話ですよね。

それを避けるためには、こう言ってみてはどうでしょうか。「中間テストって、いつから始まるの?」 勘のいい子なら、それだけで勉強をしなければならないことに、気がつきます。自分で気づいて行動するので、親に対する反発もありません。

あるいはそれでもピンとこない場合は、こういう言い方もあります。「テスト初日の科目って何なの?」 すると「数学と社会…… 今回の数学ちょっとやばいから、勉強しないといけないなぁ……」となるかもしれません。

まだ鈍い子は「え? 数学と社会だけど、それがどうかしたの?」と言うかもしれません。そこで「前回、数学の点数、良かったよね。今回も期待しているよ」 ここまでくれば、どんな鈍い子でも察することができるでしょう。

ポイントは、子供の面子をつぶさないということです。

悪いところを指摘しない

また松平定信の「花月草紙」に、このような話があります。

この人、このところは長じぬれど、ここはいとみじかし。そのみじかきところを引きのべんとするは、いとくるし。知己の人ことばを求めなば、もとよりいふべし。されど、しばしばすべきにあらず。浅き契りの友なりとても、友といふうちならば、その人のうへの存亡にかかはることならば答へる。

【現代語訳】
この人のここは良いが、ここは悪い。その悪いところを直そうとするのは、とても難しい。仲が良い人がアドバイスを求めてきたら、言ってあげるべきだ。しかしたびたびするべきではない。あまり付き合いのない人でも友達なら、命にかかわることなら言ってあげるべきだ。

「アドバイスを求めてきたら、言ってあげるべきだ。しかしたびたびするべきではない」というのは、その人の悪いことを指摘するのは、極力避けてましょう。こちらから言うなんてことはもってのほかだ、ということです。

この文は「友人つき合い」の話で、「人の悪いところではなく、良いところを見ましょう」という内容の一部なのですが、子供への対応にも当てはまります。悪いところを指摘すべきではないのです。言っても変わらないのですから。

まとめ

最初の話に戻ります。テストが近いのにテレビを見ている。あるいはスマホを触っている。そこで「勉強しなさい!」と言ってしまいます。しぶしぶ自分の部屋に行った子供は、ノートを開いて勉強をしている感じです。しかし、その心の中がどうなっているのか、これまでの話で分かりますね。

勉強しないといけないという気持ちは、子供はちゃんと持っています。持っているからこそ、それを指摘されると反発するのです。

言いたい気持ちは分かります。しかし、それは言っても意味がないどころか、逆効果にすらなります。そこはぐっとこらえて「悪いところは指摘しない」「遠回しに注意をあたえる」の二点を意識してもらえたらと思います。

 

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