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勉強している人に「頑張れ」と言ってはいけない。

教育・子育て

スポーツなどで応援するとき「頑張れ!」と言いますよね。この「頑張る」という言葉、良いイメージがあると思います。でもよくよく考えてみると、何かとらえどころのない、具体性に欠ける言葉なんですよね。

ついつい簡単に「頑張れ、頑張れ」といろいろな場面で使いがちですが、ある時、勉強のシーンで使うのはあまりふさわしくないのではないかと感じたのです。それについて書いてみたいと思います。

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スポーツにおける「頑張れ!」

最初の例に挙げた、スポーツで応援するときにする「頑張れ!」についてです。よくあるのがマラソンなんかで、沿道にいる人が走っている人に向かって「頑張れー」と応援します。それを聞いたランナーは少し疲れていても、「よし、もうひと踏ん張りしよう」となることがあります。

野球でもツーアウト満塁でバッターボックスに向かう人に向かって、「頑張れー」と一声。それを聞いたバッターが「よし、任せとけ!」と気合が入ります。

勉強における「頑張れ!」

それに対して勉強における「頑張れ!」はどうでしょうか。

問題を解いている最中に、「頑張れー」と応援されたとすると、「いや、ちょっと集中できないので、静かにしてもらえませんか」となりますよね。

今日はテストがあるという日の朝に、母親から「頑張ってね」と一言。これは「任せといて!」と前向きにとらえる人もいるかと思いますが、多くは「頑張ってって言われても…あとはテストを受けるだけだからなぁ…」となるかと思います。

頑張るとは

結局「頑張る」とは何なのでしょうか。辞典にはこうあります。

  1. いっしょうけんめいに努力する。
  2. 自分の考えを、強く押し通そうとする。

今回の話では、一つ目の意味で使われています。そこでスポーツと勉強で考えてみたのですが、この2つにおいて、受け止め方に差があります。スポーツの場合はポジティブ、勉強の場合はネガティブに受け止められがちです。なぜこのように差があるのでしょうか。

それは、努力の方向性が見ているか、見えていないかが大きいと思います。

マラソンの「頑張る」は走ることですから、頑張ることはできます。ですが、問題を解くことを頑張るのはできません。

問題を解くためにあれこれ考えることを頑張ることはできます。しかし、問題を解くこと自体は能力の問題ですから、頑張れないのです。

頑張れるものと頑張れないもの

もう少し深く、頑張れるものと頑張れないものを見ていきましょう。

マラソンの例で言えば、「頑張って自己ベストを出します!」という発言があります。

ですが、これはおかしいです。なぜなら「自己ベストを出す」は能力だからです。本来頑張るのは練習の段階であるべきで、「自己ベストを出すために、練習を頑張ります」なら問題ありません。

テストがある日の朝に、母親から「今日のテスト、頑張ってねー」と言われてピンとこないのも、同じ理由です。頑張るのは前日の勉強でもう終わっているのです。テストを受ける段階では、頑張る必要はなく、これまで頑張ったことをただ出すだけです。

つまり、頑張るというのは具体的なものをともなってこそ意味があります。例えば、「頑張ってノートに10回ずつ単語を練習する」はあり得ますが、単に「頑張って単語を覚える」は意味をなさないのです。

応援の「頑張れ」

とはいえ、最初の例に挙げた、これも具体性はともなっていません。

野球でもツーアウト満塁でバッターボックスに向かう人に向かって、「頑張れー」と一声。それを聞いたバッターが「よし、任せとけ!」と気合が入ります。

しかし、この「頑張れ」は成り立っています。なぜなのでしょう。それは「頑張れ」には2種類あるからです。それは辞典の意味通りの「頑張れ」と、モチベーションを上げる「頑張れ」です。

野球の例の「頑張れー」は辞典の意味的な「頑張れ」ではなく、応援の掛け声みたいなものです。その意味するところは「頼むぞ。打ってくれー」の方が近いのではないでしょうか。

そう考えるとマラソンの「頑張れー」も本当に頑張ってほしいのではなく、「応援してるぞー」的な方が強いです。スポーツの「頑張れー」はそういった面が多いように感じます。

つまり「頑張れー」が、「頑張りなさい」と言う指示ではないのです。ボディビルの大会の掛け声と同じように、言葉の内容に意味はなく、エールを送っているのだとも言えます。そして「頑張りなさい」という命令ではないからこそ、スポーツの「頑張れー」はモチベーションアップにつながるのです。

まとめ

ということで、「頑張れ」といういう声掛けについて、あれこれ考えてみました。勉強シーンでの「頑張れ」は良くないというのが結論です。親子の間に認識の違いが生まれるからです。つまり親は応援のつもりで「頑張れ」と言い、子供は指示として「頑張れ」と受け取ってしまい、ギャップができてしまうのです。

となれば、具体的な指示として「問題集を10ページ頑張れ」とするべきですが、それだとまた意味合いが変わってきます。ならば「頑張れ」の代わりに、「応援しているよ」や「90点を期待しているよ」と言ってあげた方が、気持ちが伝わりやすいのではないかと思うのです。

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