「子供をやる気にさせるには、ほめればよい」と言われますが、いざやるとなるとなかなか難しいですよね。どう考えれば、うまくほめられるのか? また効果的なほめ方とは何か? を考えてみましょう。
真の意味でほめるとは
子供をやる気にさせるには、ほめればよいという話があります。確かにうまくほめられると、気分が良くなり、やる気につながることはあります。とはいえ、真の意味でほめるというのは、とても難しいです。お世辞になってはいけません。そしてそういった上っ面のほめ方では、子供はすぐに見抜きます。
「あばたもえくぼ」という言葉があります。他の人から見るとマイナスのことでも、その人から見るとプラスに見えるということです。この状態で出る言葉は、本心から出た言葉です。真の意味でほめているのです。具体的にはこういうことです。
まだ幼い子供が、部屋の壁にクレヨンで落書きをしました。普通は叱りますよね。そこで「うわぁ~、上手にかけているね~」と抱きしめるのが、真の意味でのほめるです。そうすると、子供は絵をかくのが大好きになります。そして将来その才能を伸ばし、画家やイラストレーターになるかもしれません。
ある程度大きくなった子どもに、同じようなことができるでしょうか? もちろん子供に対する愛情はあります。しかし、それは幼い子供に対するときとは変化しているはずですし、またそうでなければ、それはそれで問題です。ですので、真の意味でほめるというのは、それほど簡単ではないのです。
ほめるのではなく、認める
そこで考え方を少しずらします。「ほめる」のではなく、「認める」と考えるのです。すると、そのハードルはグッと下がります。
テストの点数が返ってきました。まぁ、ひどい点数です。子供もへこんでいます。ここで「勉強してなかったから、こうなるんでしょうが!」と言ってしまうと、何も変わらない、あるいはより悪化することは、わかりますよね。かといって、「上手な字が書けているね。すごいね」だと、上っ面のほめ方です。
これが「認める」と考えると、言い方も変わってきます。「テスト、残念だね。でも、ちゃんと勉強しなきゃいけない、と思ったんでしょ。その気持ちを持つことは大事だと、私も思う」となります。「点数が悪くてへこんでいる → 反省している → ちゃんと勉強しなきゃいけないと思った」という点を認めてあげるのです。
あるいは、子供の勉強にもっと深くかかわっていたなら、こうなるかもしれません。「テスト前に勉強していた○○の部分、△△のところまではできるようになったんだね。その点は大したもんだ」 こうなれば、ほめているのと変わりありませんね。
第三者を使ってほめる
また第三者を使ってほめる、というやり方があります。これは本当に効果があります。ぜひ試してください。
他人の言葉を使ってほめる
それは他人の言葉を使ってほめる、というやり方です。「最近積極的に手を挙げるようになったって、学校の先生が言っていたよ」「わからないことをしっかり質問できるようになったって、塾の先生が言っていたよ。」という感じです。二者面談で言われたことをそのまま言えばいいのです。
子供とすれば、うれしいらしいです。そういうところを見てくれているんだ、と思うのです。普段あまりほめない先生だとなおさらだそうです。また普段から言われていたとしても、あらためて親からそれを伝えられると、本当にそう思ってくれているんだ、という確信にもなります。
ところで、これは逆のパターンもあり得ることに注意してください。「学校の先生が、最近授業中にしゃべってばかりいる、って言っていたよ」「塾の先生が、宿題のやり方が雑になっている、って言っていたよ」という感じです。
これを言われた子供は、先生に不信感を抱きます。どうしても「言いつけられた」という印象を持ちます。二者面談ではたいてい、良い面・悪い面、両方の話があると思います。そしてどうしても悪い面の印象が残りやすく、それを子供に言ってしまいがちです。ぜひそれは心にしまっておき、良い面だけを子供に伝えてもらいたいと思います。
他人にほめてもらう
またそれの応用ですが、自分の言いたいことを他人に言ってもらうのも、一つの方法です。先ほどのテストの例でありましたが、「ちゃんと勉強しなきゃいけない、と思ったんでしょ。その気持ちを持つことは大事だと、私も思う」と母親が子供に言ったとします。
それを父親にも言ってもらうのです。「勉強しなきゃ、という意識を持てたというのはえらいなぁ、ってお母さんが言っていたよ」という感じです。
あまりいい例えではありませんが、詐欺師がよく使うやり方です。「○○という儲け話があるんだけど」という話をAから耳にします。それだけだと、胡散臭いですね。ところが別の日にBから「Aから聞いた? ○○って儲かるんだって」と聞きます。また別の日に「○○やっているんだけど、結構儲かるよ」とCから聞きます。こうなると「本当かも」となるんだそうです。もちろんA・B・Cはグルです。
直接言うと、上っ面のほめ方になりそうなこともあります。それを、このように両親で協力し合うと、うまく伝わることがあります。ただし、これも逆パターンには気を付けてください。
「お父さんからも、もっと勉強するように言ってよ」や「お母さんから聞いたけど、最近全然勉強していないらしいな!」という言葉。言いがちですよね。言いたくなる気持ちは分かりますが、残念ながら逆効果です。親子の溝を深めかねません。それはぜひ「ほめる」方向で使ってください。
まとめ
今回は「ほめる」ことについて考えてみました。ほめるのは難しいです。どうすれば、うまくほめられるのか? また効果的なほめ方とは何か? まとめるとこうなります。
一つは「ほめる」のではなく、「認める」と考えると、やりやすいという話です。もう一つは他人を使ってほめると、効果的だという話です。ぜひ試していただけたらと思います。
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