落ち着きのない子供がいます。
授業中に私語をする。周りをキョロキョロと見回す。立ち歩く。独り言や歌を歌う。踊りだす。ノートに落書き。後ろを向く。ペン回し。隣の子にちょっかいをだす。
発達障害の一つで ADHD (注意欠如・多動症)というものがあります。これが原因なら、それなりの対処が必要です。ですが、何でもかんでも ADHD が原因ではないかと考えるのもやりすぎです。
実はもっと単純なことが原因で、落ち着きをなくしている子供が結構いるのです。さて彼らは何が原因で、落ち着きがないのでしょうか。
やるべきことが分からない
何をしたらよいのかわからないので、他の人にちょっかいをかけたり、私語をしてしまう人がいます。
その場合、その子のレベルが周りより、高い可能性があります。他の子がまだ問題を解いているにも関わらず、すでに解き終わっていることがあります。やるべきことが終わって、手持ち無沙汰になっているのですね。
「これ、やってみたら?」と、その子専用に問題を用意してあげると、おとなしくそれに取り組むことがあります。
勉強がわからない
問題のやり方がわからないことも、落ち着きのない原因になります。やり方がわからないから、問題が解けません。問題が解けないので、やることがありません。やることがないので、違うことをしてしまいます。
「一緒に問題をやってみようか」と言ってあげると、素直に教わる態勢になることも多いです。
暑い・眠い
暑くて気分がすぐれないので、しゃべって気を紛らわせることがあります。
子供は体が小さいです。そのため汗腺が密になり、大人と同じように機能しないそうです。大人が感じる暑さと、子供の感じる暑さは違うんですね。
暑いなら、クーラーを入れて温度を調節します。我慢できる程度であっても、早め早めに対応するのが良いです。保冷剤を首に当ててやるのも、脳に行く血液が冷やされるので、効果的だそうです。
同様に眠たくて、それを紛らわせようとして、落ち着きがない様子を示すこともあります。これは起きて授業を聞こうとしているわけです。そう考えるといじらしくもあります。
眠そうなら、顔を洗わせます。それですっきりします。本当に寝不足できつそうなら、最終手段として5分ほど寝かせるのもありかと思います。
ペン回し
勉強よりペン回しの方が、優先になっていることがあります。ペン回しができるようになりたては、できることがうれしくて、ペン回しの練習がしたくてたまりません。
これに関しては、「ペン回しをするな」と命令すると、ふてくされることがあります。そこでこう言います。
「次、ペン落としたら、そのペンもらうよ」
で、実際落とすと、そのペンを預かり、代わりのペンを渡します。回しやすいペンと回しにくいペンがあります。ペンが変わると、回すのに慣れていないので、ペン回しをしなくなることがあります。
マイナス発言
「疲れたー」「しんどい」「面倒くさい」という発言は、落ち着きがなくなる前兆です。かつ落ち着きをなくすトリガーでもあります。なのでなるだけマイナス発言を出させないようにすることが大事です。
「マイナス発言をするな!」と叱ってしまうと、いらぬ対立を生みます。なので普段から、「教室内ではマイナス発言禁止」というのを刷り込んでおくことが必要です。
それでもマイナス発言があると、「はい、今のはマイナス発言だから、マイナス一点ね」と、冗談めかして注意を与えます。
これが浸透してくれば、子供同士で注意しあうようになります。
構ってほしい
人は多かれ少なかれ、注目を集めたいと思っています。子供ならなおさらです。世界の中心は自分ですから、無視されるのは我慢なりません。
そこで、授業中に私語をしたり、立ち歩いたり、隣の友達のちょっかいを出したりして、何とかして注目を集めようとします。
これの難しいところは、大声で叱れば叱るほど注目を集めさせることになります。それではその子の狙い通りです。それに味をしめて、迷惑行為を繰り返すようになるかもしれません。
なので、ほどほど程度に注意を与えます。そして別のところで注目を与えるようにします。例えば、プリントを、みんなに配ってもらうとか、逆にみんなのプリントを、その子に回収してもらうとかです。
これがうまくいけば、授業で積極的に挙手をして、それにこたえることで注目を集めるといった、好循環になります。
まとめ
子供の落ち着きがない原因について、思うところを書いてみました。
平成24年の文部科学省による「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」によると、「行動面で著しい困難を示す」割合が3.6%となっています。
内訳は、男子は6.0%、女子は1.4%です。
最も高いのは小学校一年生で6.0%です。そこから学年を経るにつれほぼ右肩下がりになり、中学三年生では2.7%になります。
これらの数字が何をあらわすのかは、上記の調査結果報告を見ていただけたらと思います。ただ思うのは、その数字に含まれている子供たちの中に、本当にたわいもないことが原因でそうなっている人がいるかもしれないということです。
「落ち着きがない=ADHD」と判断する前に、上記の内容をチェックすると、案外簡単に解決するかもしれません。
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