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引きこもりの40代とその親の話から、子供の勉強に対しての向き合い方を考えた

教育・子育て

ファイナンシャルプランナーの方による、家計相談の記事を読んでの感想です。

引きこもりの40代の人と勉強が嫌いと言っている子供の状況、またそれに対するそれぞれの親の対応がよく似ていると感じたこと。そしてその数年後の、親の心境の変化から、感じたことを書いてみました。

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仕事をしない長男とその父親

ファイナンシャルプランナーの方の記事です。

引きこもってしまい、働くことができていない40代の子供がいます。その親からの相談で、今後家計はどうなるのか、また自分たち親が死んだあと、この子供はどうなってしまうのか、という相談です。非常に興味深く読ませていただきました。

「氷河期世代の長男は一生働かない」40歳・不肖の息子の人生を背負う親の莫大な代償 両親の死後も無職のまま悠々自適
就職氷河期世代の男性(40)はこれまで一度も働いたことがない。半ばひきこもり状態であることを、実家で同居する年金暮らしの父親(73)からたびたび叱責され、関係は悪い。父親がファイナンシャルプランナーに家計相談すると、一定の資産があるおかげで...

読んでいるうちに、ふと既視感を覚えました。この話は引きこもりの40代の子供に対して、社会復帰をしてもらいたい父親の話です。ですがこの親と子の関係はそのまま、勉強してもらいたい親と、勉強しない子供の関係と同じなのです。

親は、長男が仕事をするようにと、いろいろと手を打ちましたが、うまくいきませんでした。結局、一度も働いたことがありません。特に父親は仕事をしない長男をたびたび叱責しましたが、本人はかえって心を閉ざしてしまい、ひきこもり状態になってしまったそうです。

今では親子の会話もほとんどありません。

これってどうですか? 「勉強しなさい、しなさい」とガミガミ言ってしまい、その結果、子供はふてくされて自分の部屋に閉じこもってしまった、という状況と似ていますよね。

奮起してほしい

ファイナンシャルプランナーの方は、その方の家計を分析して、「油断してはいけないが、現状では長男の老後まで貯蓄が維持できそうだ」と結論を出しました。そしてそれを伝えました。

それに対する父親の反応が、なかなか興味深いです。

こちらから送ったご提案資料が届いたころ、父親から電話がかかってきました。

「困るよ。これでは息子に見せられない」

父親は、今のままだと将来は厳しい状況になることを見せて、本人に危機感を持たせたいと考えていたようです。それまでも「このままでは将来生きていけない」と、長男の奮起を促す叱責を繰り返しており、私の家計診断もその材料としたかったようです。

この状況ですが、同じようなことが塾の面談でたまにあります。

「内申点が~なので、本番で〇点取れば合格できます。実力テストで〇点が取れていますので、油断しなければ大丈夫でしょう」

こんな話をすると、親が怪訝な表情をすることがあります。よくよく話を聞くと、「厳しい話をしてもらって、子供に危機感を持ってもらいたかった」とおっしゃります。

先にそう言っておいてくれれば、それに沿った話をしてもよかったのでしょうが、もう後の祭りです。とはいえ、現状を分析すれば、合格ラインに乗っているのは間違いありません。

また危機感を持つことが、勉強につながるとも限りません。無理と考えると、目標を下方修正する子供も多いです。それなら、目標がもう手の届くところに来ていることを、正直に話してあげたほうが、やる気につながりやすいかもしれません。

現状を受け入れる

ファイナンシャルプランナーの方の話はまだ続きます。その話が実に秀逸です。

その時のご相談はそれで終わりましたが、数年後に父親からまた連絡をもらいました。それによると、提案書を受け取った時は納得できなかったけれども、「働かなくても生きていくことはできる」とわかり、親としても焦らなくなったそうです。無理に働くことを勧めなくなり、就職の話はしなくなりました。

すると徐々に、親子で会話が増え、コミュニケーションが取れるようになってきたそうです。まだまだ社会復帰ができたと言える状況ではありませんが、以前と比べると、家の中がギスギスすることなく、雰囲気が良くなってきたと、明るい声で報告してくれました。

この部分を読んで、目から鱗が落ちる思いでした。

子供は「何で勉強しなくちゃいけないの?」とよく言います。「歴史なんて、覚える意味がない」「因数分解なんて、どこで使うの?」などなど。

私は職業として勉強を教えていますので、それらに対してあれやこれやと、勉強する理由を話したり、あるいは動機付けをしたりして、なんとか勉強に取り組ませようとしてきました。ですが、これが本当に唯一の道なのでしょうか。

極論を言えば、勉強をしなくても、今の日本では何とかなります。勉強をしないなら、しないなりの生き方があります。また多様性を認め合う社会の実現を目指して、世の中は進んでいます。その意味でも、学校で教わる「狭義の勉強」の重要性は、今後相対的に低くなっていくかもしれません。

そう考えると、「なんで勉強しなくちゃいけないの?」に対しても、対応が変わってきそうです。

今後、勉強は「ピアノ」「習字」「そろばん」「スイミング」といった習い事と、同じ扱いになるかもしれません。もしかすると「読書」や「ゲーム」「ギター」といった趣味とも同じ扱いに、勉強がなってくるかもしれません。

例えば「ギター、飽きたなぁ」と言われたら、「まぁ、別にギターを弾かなくても死なないし、しばらく休んだら?」となりますよね。勉強に関しても、同じように対応するようになるのかも。いや、さすがにそれは行き過ぎか…

まとめ

このファイナンシャルプランナーに相談された父親は、子供の将来が心配でした。子供の将来が心配だから、子供に仕事をさせようとしたのです。目的は「将来」で、手段が「仕事」です。

その「手段」であるはずの「仕事」が、いつしか「目的」に代わってしまい、その結果、親子関係に支障をきたしていたのでしょう。

さて、私たちは子供に、「なぜ勉強をしなくてはいけないか」という話をします。手変え品変え、いろいろな方面から話をして、何とか勉強に取り組んでもらおうとします。この時点で手段と目的が入れ替わっている気がします。

勉強はあくまで手段です。目的ではありません。では目的は何なのでしょうか? 子供が言う 「なんで勉強しなくちゃいけないの?」 がまさに、それです。子供の将来のためでしょうか?

このファイナンシャルプランナーの話では、「将来」という目的に対して、「仕事」は手段ではありませんでした。情報化社会の中では、「学校の勉強」も「将来」という目的の手段になり得ないかもしれません。

「就職の話をしなくなり、親子でコミュニケーションが取れるようになってきた」という最後の話。勉強に関してガミガミ言ってしまい、親子関係がギクシャクしてしまっている人にとっては、考えさせられる話ではないかと思います。

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