子供のやる気がないのは誰のせい?

分からない問題に考えこむ女子高校生教育・子育て

昔の話になります。ある父親からクレームが入りました。「うちの子塾に行かせても、全然やる気になってないじゃないか! どういうことだ!」

やる気のない子供がいれば、やる気のある子供がいます。

それまでやる気のない子が、塾に来るようになって、やる気になったという話はよくあります。残念ながらやる気にならないケースもあります。上記のクレームはそのやる気にならないパターンです。

子供のやる気がないのは誰のせいなのでしょうか? 塾のせいでしょうか?

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塾に来てやる気になる

塾に来てやる気になる子供は多いです。よくあるのはこのようなパターンです。

その子は中学一年生の間、塾には行っていませんでした。そして成績が下がってきたので、二年生から塾に行くことになったそうです。

塾の授業の様子を見ると、理解が早いです。入塾面談時に聞いていたような、悪い点数をとるようには見えません。それを素直にその子に伝えます。「次のテスト、どれくらい点数が上がるか楽しみだ」と話します。

授業では、このような話をします。

「今からやる問題は、ちょっと難しいです。たぶんクラスの半分くらいの子は、間違えると思います。だから逆に正解できると、ここで差をつけることができます。あと友達に、すごいなぁ、って思われるよ」

そういう言葉に、素直に乗っかって「じゃ、できるようにするわー」と言ってくれます。

そしてテスト前には過去問や予想問題を配って「これが全部できるようになれば、90点はとれるよ」と言います。すると「え、本当に?」と言って、一生懸命それに取り組みます。

結果として90点は取れませんでしたが、以前の点数と比べると、大幅に点数をあげることができました。それまでその子を下の方に見ていた人たちが、抜かれてしまったり、あるいは追いつかれそうになったりしたのです。

すると周りの目も変わります。一目置かれるようになります。そしてそれに応えられるよう、さらに頑張るようになります。

なぜやる気になったのか

なぜ彼はやる気になったのでしょうか。

一番は勉強の優先度が上がったことです。塾は勉強をするところです。塾での話題は勉強に関するものが多くなります。「今日の塾のテストってどこが範囲だったっけ?」と学校で確認することもあるそうです。学校でも勉強の話題が多くなります。

それまでと比べて、日常生活の中で、勉強の話題に触れる時間が増えます。そうなれば、今まで部活・ゲーム・テレビなどの陰に隠れていた勉強の存在が、表に現れるのです。

また、他人の目線の存在も大きいです。それまでテストは自分事でした。点数が悪かろうが、それは自分の中だけのことだったのです。それが塾では、先生が定期テストの点数を聞いてくる。友達同士でも、点数を競っている。

そんな中で、他人が自分のテストの点数を気にしている。いいところを見せたい。そういう気持ちが沸き上がってきます。これが大きいです。

そして過去問や予想問題を配ることにより、具体的に何を勉強すればよいかが見えたのも大きいです。「勉強をしなさい」だと、何をすればよいかわかりません。過去問という具体的なものがあることで、動きやすくなったのです。

塾に来てもやる気にならない

塾に来ても、やる気にならない子供もいます。

授業中はボーっとしていてメモを取らない、「来週テストをするから、覚えてくるにように」と言っても覚えてこない。宿題はやらない。塾に来ては友達と楽しく会話し、授業中は身を潜めます。月謝のお金と自分の時間を、どぶに捨てているようなものです。

以前はこのような子に対して、ガミガミ言っていました。でも変わりません。むしろ関係が悪化するまであります。

ということで、最近はそういう子に対して、特別な何かはしません。ほかの子と同じです。授業中に理解していないことが多いので、問題演習の時に、横について説明することが多くなるくらいです。

上記にある「塾に来てやる気になる子」のパターンも、私は特別なことは何もしていません。塾という環境を使って、本人自身が勝手にやる気になっているだけです。結局子供のやる気は、子供次第なところは大きいです。

英語にこういうことわざがあります。

You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.
馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない

結局そういうことだと思います。私たち大人ができることは、子供がいつやる気になっても大丈夫なように、環境を整えてあげることなのではないでしょうか。

塾の宿題をやってこないことを、保護者の方に伝えると「塾に残らせて、やらせないんですか?」と言われることがあります。そんなとき、私は返事に詰まります。

実は残らせてやらせることはあります。ですがそれは、罰ゲーム的なノリでやらせます。本当の罰としてやらせたくはないんですね。

というのも、宿題を塾に残らせてやらせるのは、宿題の本来の目的から外れているからです。宿題は授業の内容を、家で思い出してもらうために出しています。忘れかけたころにやるからいいんです。

あと本当の罰としてやらせると、本気で嫌がります。ただでさえ嫌な勉強を、さらに嫌いにさせることになります。なので居残りをさせて、宿題をさせたくはないのです。

家庭の力

さて、最初のクレームの話に戻ります。

クレームの父親に、私はこう言いました。「お子様のやる気がないのは、私の力不足で申し訳ありません。ですが、その半分はご家庭のせいですよ」

そしてこう続けます。「◯◯くんは、毎週2回塾に来てくれています。一回90分、週2回で180分。その間は少なくとも勉強はさせています。ご家庭での勉強は、ある程度ご家庭で管理していただかないといけません」

そう私が言うと、父親は少し考えて、「まぁ、それは正論だな」とおっしゃいました。

こういうやり取りがありながら、私の心はもやもやしています。というのも子供をやる気にさせられていないことは事実だからです。そしてそれは、子供との信頼関係が築けていないということになります。

のどが渇いていない馬に、水を飲ませることはできません。しかし、信頼するコーチから「このあと、水を飲むチャンスがないから、ここで飲んでおいた方がいいよ」言われると、のどが渇いていなくても水を飲みますよね。

すべての生徒にそうありたい、と願う気持ちはあります。信頼関係が築けるように、努力はしています。とはいえ、なかなか難しいのも事実です。

尊敬する人物は誰ですかと聞かれて、「父親です」とか「母親です」と答える人は3割ほどいるそうです。その他はほぼ歴史上の人物です。つまり子供のやる気を直接的に引き上げることができるのは、塾よりも家族かもしれません。

これは責任転嫁ではありません。むしろご家庭の力を尊重していると考えてもらいたいです。やはり子供に一番影響を与えるのは、保護者の方の存在でしょう。

まとめ

「子供のやる気がないのは誰のせい?」ということで、思うところを書いてみました。やる気があるかないかは、結局本人次第です。だからいうなら、やる気がないのは本人のせいです。

とはいえ、それで切り捨ててしまうのは子供に対してかわいそうです。やる気を出させられなかったのは、先生と生徒との間に、信頼関係が築けなかったからとも言えます。子供にやる気がないのは、塾の責任でもあります。

そして子供に一番影響を与えるのは、誰よりも保護者の方の存在です。子供は親の背中を見て育ちます。親の行動・発言・態度などから影響を受けて、子供は自己を確立していきます。子供をやる気にさせるには、ご家庭の協力が不可欠です。

保護者も塾も、そして子供自身も「子供にやる気になってもらいたい」のです。目指すところは同じです。なら「子供のやる気がないのは誰のせい」と、責任を押し付けあうのは意味がありません。

それより、それぞれがそれぞれの立場で、何かできることがなかったのかを、反省するべきだと思うのです。そして協力し合って、より良い方向に進めていくことが大切なのではないでしょうか。   

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