苦手科目を克服したいとはだれもが思います。ですが、それは簡単にいきません。簡単に克服できないからこそ、苦手科目だとも言えます。とはいえ何とかしたいし、しなくてはいけません。
さて苦手科目を克服して、得意科目にする方法はあるのでしょうか。今回は苦手科目を得意科目に変える「点滴穿石勉強法」を紹介します。
点滴穿石とは
まず「点滴穿石 / てんてきせんせき」という言葉の意味です。
「点滴」は入院したときなどにおなじみですよね。「ピチョン、ピチョン」という、一滴一滴の水滴のことです。「穿」は「穿つ / うがつ」で、穴をあける意味です。なので「穿石」で、石に穴をあけることになります。
つまり「点滴穿石」は小さな水滴でも同じ場所に長い時間落ち続ければ、石に穴をあけることができるということであり、そこから小さな努力の積み重ねが大きな成果を生み出すことができることを表します。
「雨垂れ石を穿つ」ともいいますね。
点滴穿石勉強法とは
ではその「点滴穿石」の考え方を勉強に活かしてみましょう。ポイントは三つです。
まず、努力は小さくてかまいません。必死になってやらなくてはならないなら、ずれています。無理のない範囲でやりましょう。
次に、一点に集中するべきです。あれもこれもになってしまうと、効果は半減です。ここというところに集中します。集中するべき場所は、比較的易しいところを狙うのがいいでしょう。
最後に、長く続けることです。少しやってダメだとあきらめてはいけません。効果が出るまでは時間がかかりります。長い目で見ましょう。
点滴穿石勉強法を実践する
実際にあったことです。
中学二年生のある男の子がいました。彼は数学がとても苦手です。何から手をつけていいかわからないという状態でした。そこで一次関数の単元に入りました。苦手意識が前に出過ぎてやる気が全く起きません。そんな時にこんな問題に出会いました。
一次関数の式は「y=ax+b」という形で表すことができ、a が比例定数、b が切片です。つまりこの問題の正解は「y=2x+5」となります。数字を式に当てはめるだけなので、とても簡単です。
次にこんな問題に出会いました。
平行ということは比例定数が同じで、y軸と交わるということは切片が同じです。つまりこの問題の正解は「y=3x-3」となります。
なぜそうなるのかまで理解しようとすると、少し大変ですが、答えを出すだけなら、これも数字を式に当てはめるだけです。簡単ですね。
彼はこの条件から式を求めるパターンの問題なら何とかなりそうだと感じました。そして練習を開始します。そのうちに代入を使う問題に出くわします。少し難しいですが、乗り掛かった舟です。ちょっと練習するとできるようになりました。思っていたよりも簡単でした。自信が出てきました。
次に連立方程式を使う問題が出てきます。彼は連立方程式自体は苦手でしたが、このパターンの問題はできるようにすると決めたので、練習します。そして練習するうちにできるようになります。連立方程式を克服することもできたのです。
そして条件から一次方程式の式を求める問題以外にも、グラフから式を求める問題ができるようになり、式からグラフを書けるようになり、そのうちに一次関数に関する苦手意識がなくなってきます。結果、定期テストで思ったよりも点数を取ることができて、数学に対しての苦手意識もなくなりました。
一度壁を突破してしまえば、そこから苦手の壁を崩していくことができるのです。「蟻の穴から堤も崩れる」という諺もあります。これは些細な不注意や失敗から、大事を招いてしまうという、よくない意味での例えですが、それをいい意味で応用できるといいですね。
まとめ
点滴穿石勉強法について書いてみました。
誰しも苦手意識はあります。その苦手意識がなかなかぬぐえないのは、苦手教科に対する取り組み方が原因かもしれません。やみくもに取り組んでも改善することはありません。一点突破で根気強く逆転を狙いましょう。
その突破するべき一点をどこにするかもポイントです。あまり分厚い壁だといずれ突破することができるとしても時間がかかりすぎます。まずは突破することが目的ですから、その壁は薄いに越したことはありません。とはいえ、どこが薄いのか判断できないこともあるでしょう。その時は先生なり大人に相談するのがいいかもしれません。
戦国武将が好きだから、歴史好きになった。動物が好きだから理科が好きになった。そういう事例ってありますよね。
苦手教科にも「好き」までいかなくても、苦にならない部分があるはずです。そこに繰り返しアタックしていくことで、苦手意識を克服し、得意教科に変える可能性があるのがこの「点滴穿石勉強法」です。ぜひ焦らず取り組んでください。
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