勉強をしていると、「私は、英語が苦手だ」とか、「一次関数が全然分からん」とか、そういう苦手意識をどうしても持ってしまいます。しかし苦手意識を持っていて、悪いことはあっても、良いことなどありません。
ゴルフの病気に「イップス」というものがあります。これも苦手意識をこじらせてしまったことが原因といわれています。
そんな恐ろしい「苦手意識」ですが、実はそれを消す方法があるのです。今回紹介する方法は、「自己暗示をかけて、苦手意識を消す方法」です。「自己暗示をかけて、苦手意識を消す方法」なんて言うと、胡散臭いなぁと思われるかもしれません。でも本当に暗示というのは、強力なのですよ。
周りのイメージが性格をつくる
血液型・性格判断というものがあります。A型は几帳面。B型はマイペース。O型はおおらか。AB型は二重人格。もちろん科学的根拠なんてありません。ですが、これって結構あっている気がしませんか?
「もしかしてA型? やっぱりなー」「え? B型? でも言われてみたら、そんな気がするなぁ」とか、一度は仲間内で盛り上がるネタです。
これはA型の人は、「A型だから几帳面だ」というイメージを刷り込まれている、という話があります。そうやって刷り込まれていくうちに、自分は几帳面なんだと思い込み、結果的として本当に几帳面になっていく、というのが実際なのではないでしょうか。
D・カーネギーの「人を動かす」第四部「人を変える九原則」の第七章にこうあります。
ホプキンス夫人は学年の始めに担当クラスの出席簿を一目見て、新学年への期待が不安で曇るのを感じた。クラスの中に、学校中で一番評判の悪い “悪たれ” トミーがはいっていたのだ。……新学年の初日に教壇に立った先生は、児童の一人一人にひと言ずつ声をかけて回った。……トミーの番になると、トミーの目をまともに見ていった。「トミー、君は生まれながらのリーダーなんだってね。先生はこのクラスを今年の四年では一番いいクラスにしようと思っているの。それには、君が一番の頼りよ。たのむわね」……良い評価を与えられたトミーは、評価通りになろう、先生の期待を裏切るまいと努力した。そして事実、先生の期待にこたえた。
D・カーネギー「人を動かす」
周りのイメージに、自分の性格が寄っていくということ、実際にありますよね。これはそういう暗示をかけられているとも考えられます。
モーションはエモーションを生む
今は単なる友達に過ぎない。でもその人と、ぜひお付き合いしたいと思っている。そんな人をデートに連れていくのは、吊り橋がいいそうです。高い吊り橋で、緊張してドキドキしていると、それを脳が恋愛によるときめきと錯覚するのだそうです。吊り橋効果なんですって。
これは別に吊り橋でなくても、良いんだそうです。例えば一緒にマラソンをします。すると、心臓はドキドキしますよね。これでもいいですし、それでいえば、「ワッ!」と驚かせてもいいし、相手に一分間、息を止めてもらってもいいですよね。
何の話でしたっけ? 要するに、体と心は連動しているという話です。嫌々やっていた勉強が、だんだん集中してくるというように、やっているうちに、その気になるということ、勉強でもありますよね。これも暗示の一つだと思います。
「好きだ、好きだ」と言っていたら、好きになる。
体と心が連動するように、言葉と心も連動します。ある人がピーマンが好きだといっていました。それについて、このようなことを言っていました。
小学校のころの友達で、ピーマンが嫌いだった人がいました。私は、強がりなのか見本を示したかったのかわからないけれど、「ピーマン、おいしいやん」とパクパク食べたのです。そこからピーマンに苦手意識がないというより、むしろ好きな部類なんですよね。
また、格好をつけて「音楽は洋楽だよね」とか言っているうちに、本当に洋楽にはまったという人もいました。麻雀マンガを読んで、「格好いいなぁー」から、麻雀のゲーム自体にはまったという人もいましたね。これも暗示の一種でしょう。
自己暗示をかけて、苦手意識を消す
ここからが本題です。これまでの話で、暗示というものは、かなり強力だということがわかってもらえたかと思います。それを勉強に活かせないかということです。といっても、そんなに大したことはしませんので、ご安心ください。
ある年の中学3年生に、こんな子がいました。この子はある程度勉強はできましたが、飛びぬけてできるまではいきませんでした。ちょっとどんくさいタイプでしたね。そんな子がある日、自習をしていたんです。
彼女は数学の勉強をしていました。そして何か難しい問題に出くわしたんでしょうね。こう言ったのです。「何この問題、わけわからん。図形の問題、嫌いやわー」と。しかし、その直後に「うそうそ、大好きやでー」と言い直したのです。
それを聞いた時、「とぼけた子だなぁ」と私は思いました。その時は、それだけの印象だったのです。
ところが彼女はそこからぐんぐん成績を上げだして、最終的に偏差値70を超える高校に合格しました。その子のことを考えると、私はこの「うそうそ、大好きやでー」のエピソードを思い出します。そしてある時、ふと気づいたのです。
単にとぼけた独り言と思っていたけれど、そうではなかったのです。実はあの時、彼女は自分に、暗示をかけていたのです。数学が嫌いにならないように、自分に暗示をかけていたのですね。
彼女が成績を上げていった、理由の一端がわかった気がしました。
まとめ
暗示に関する例を、いろいろと見てもらいました。特に最後の例に注目してください。
マイナス発言をしてしまいがちな人がいます。「はぁ、全然分からん」「勉強、面白くない」「文章題、嫌いやわー」 これ、このまま放っておくと、本当にそうなりますよ。マイナス発言をしてしまったら、すぐにそれをプラス発言で打ち消しましょう。
「はぁ、全然分からん …… うそうそ、ちゃんとやったら分かるはず」「勉強、面白くないなぁ …… うそうそ、面白いよー」「文章題、嫌いだわー …… うそうそ、好きだよー」
だまされたと思って、口に出してみてください。本当に、気持ちが明るくなります。勉強に対して前向きになれる気がして、集中力も倍くらい違ってきますよ。
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