先日ある高校生から「英単語をどうやって覚えたらいいですか?」と質問がありました。それが中学生からの質問なら「何回も口に出しながら書いて練習して覚えるといいよ」と答えます。ですが、今回は高校生からの質問です。中学生に対する返答と同じでよいのでしょうか。
単語を書けるようになる
最初に書いた通り、中学生に対しては、書いて練習するように言います。というのも、中学生で学習する英単語は、日本語で言うところの「ひらがな」だからです。読むのはもちろん書けるようにもしておかないと、さすがにまずいでしょう。
中学校の宿題で「単語をノートに10回練習する」みたいなものがあります。それも効果のほどはどうなのか、と思うところはありますが、せっかく出されたのだったら、前向きに取り組むのが良いです。
野球で言えばキャッチボールや、素振り、サッカーで言えばリフティングみたいなものです。基本中の基本です。しっかり練習をして、確実に身に着けておくべきです。ここをおろそかにすると後で苦労をします。
小テストに向けて覚える
さて、高校生です。高校生の「英単語を覚える」ということには2種類あります。一つは定期テストや小テストなどです。あらかじめ試験範囲が決まっていて、書かされる単語の範囲があらかじめ分かっているものです。
これは中学生と同じように「書いて練習」すべきです。覚えるべき目安がせっかく示されているのですから、それに乗っかって確実に覚えるべきです。もちろん学校の先生もちゃんと考えて、出題するはずです。その内容は日本語で言うところの「常用漢字」レベルの、書けるようにしておいた方がいいものになっているはずです。
単語を読めるようになる
もう一つは受験を考えて、単語量を増やしていかなくてはいけないと感じたとき、どうやって覚えるかというものです。最初の例に挙げた高校生の「英単語をどうやって覚えたらいいですか?」は、こちらの内容です。
受験を考えて英単語を覚えていくとなると、その範囲は膨大です。その子は「システム英単語」を目の前にして、正直途方に暮れている様子でした。
もちろん英単語は、書いて覚えるのが基本です。そうやって勉強して、しっかり受験に合格していった人を何人も知っています。ですが、はたして方法はそれだけなのだろうか、とふと思うのです。
受験に出てくる英単語は難しいものもあります。例えばよくある話ですが、「バラ」と漢字で書けるかと言われて、書ける人はどれくらいいるでしょうか。逆に「薔薇」と書かれてあって、それを読むことはほとんどの人ができます。
もちろん書ける方がいいのは間違いありません。ですが、その前段階として、まず読めるようにならないといけないです。「読める」ができたうえで「書ける」です。ならば、いったん「書く」ことは後回しにしておいて、「読む」ことに集中するのも一つの方法ではないでしょうか。
英語を読むことに集中するなら、いろいろな選択肢が出てきます。
音楽プレイヤーを使った方法
今や単語帳を買うと、そのほとんどにCDがついています。それを音楽プレイヤーに取り込んで、それを使って勉強するという方法があります。その時に注目してもらいたいものが、その形式です。
よくある形式は「英語」→「日本語」→「英語例文」→「日本語例文」、これでワンセットになっているものです。
例えばこういう感じです。
「ridiculous」→「ばかげた」→「It’s ridiculous to pay that much just for a glass of wine.」→「ワイン一杯だけにそんなに払うなんてばかげている」
しかしこれだと、分かっている単語の確認にはいいのですが、知らない単語を覚えることはできません。なぜならこうなってしまうからです。
「ridiculous」→えっ? なんて言ったの? →「ばかげた」→さっきの単語、なんて言ってたっけ? →「It’s ridiculous to pay that much just for a glass of wine.」→??? →「ワイン一杯だけにそんなに払うなんてばかげている」
結局頭に残るのは「ワイン一杯だけにそんなに払うなんてばかげている」という内容だけです。
ということで、本当に英語を頭に残したいのなら、「英語」→「日本語」で終わるのではなく、「英語」→「日本語」の後にもう一度「英語」を入れるべきでしょう。さらに言えば、2回目の英語は少しゆっくり目がいいかもしれません。
もちろん「英語例文」→「日本語例文」の後にまた「英語例文」を入れると、多少頭に英語が残りやすくなるのではないかと思います。知らない単語を頭に入れたいと考えるなら、この形式であることが望ましいと考えます。
ただ、これにも問題があります。先ほど少し触れましたが、知っている単語の場合、「英語」→「日本語」の段階で、確認が終わります。つまり2回目の英語は時間の無駄になるのです。
ということで、音楽プレイヤーを使った方法は、その形式に注目して、後はそれをメインにするのではなく、あくまで時間の隙間に使うべきだと考えます。例えば、電車通学の間とかですね。
アプリやゲームで勉強する。
スマホのアプリで単語を覚えるものもたくさん出ています。それらを有効に使うのも一つの方法でしょう。よくあるのが単語が出てきて、それの意味を下の四択から選ぶものです。ゲーム感覚であまり勉強の意識なく進められるので、取り組みやすいかと思います。
ですが、これもやはり問題点はあります。単語が四択になっている場合、消去法で答えを選べてしまいます。また一単語に一つの意味しかありませんので、意味の広がりやその単語の持つニュアンスをつかみづらいです。
結果として、そのアプリの中では正解できても、実際に使える力になっているかどうかは不明です。私もしばらくやってみたことがありますが、どんどん先に進んで行って、そういう意味では達成感はあります。しかし、あまり身になっていない気がしたので、最近はご無沙汰になっています。
もちろんいろんな人や、会社が工夫をしているかと思いますので、本当に身になるアプリがあるかもしれません。もしおすすめのものがあれば、教えていただけたらと思います。
長文を読む
そういったことを踏まえて、単語を覚えるのに一番いい方法だと私が考えるのは、長文を読みまくることです。
まず単語そのものだけで覚えようとすると、それは本当にただの暗記力になります。それが長文の中に出てくる単語となると、話の流れがありますので、その流れの中で頭に入れることができます。これが長文の中で単語を覚えるメリットの一つです。
また長文の内容は面白いものや、興味深いものが多いです。単語帳の例文などは覚えやすいように工夫してくれているのでしょうけれど、それは単なる一つの文です。それをもって「興味深いなぁ」とはなりません。
長文等を読んでいて内容が面白いと、分からない単語が出てくると「これってどういう意味?」と気になりますよね。そして前後関係から意味を推測したり、辞書を調べたりして確認します。これが単語を覚えるのに、とても大事なことなんですね。
入試問題や問題集の長文は、長さもほどほどですし、内容も吟味されていますので、それらを読みまくるのは、単語量を増やすのに効果的だと思います。
まとめ
人っていうのは、自分の興味があることは覚えて、そうでないことは頭に残らないものです。今回一つの例として、長文を読みまくるということを示しました。ですが、それ以外にも興味を持てる何かを探すのもよいです。
「好きな歌詞を訳してみる」なんていいと思います。好きな小説を原文で読んでみるとか、逆に海外で出版されているマンガなどを逆輸入してみるとか、いろいろあります。
興味を持つものを突き詰めていくうちに、勝手に英語の力がついていた、となるのが理想ですね。英語は目的ではなく、あくまで手段ですから。
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