「勉強の中で一番大事なのは、丸つけだ」と言うと、「いやいや、もっと大事なものはあるでしょう」と考える人もいるでしょう。
「見直しや、やり直しの方が大事じゃないの?」「授業をしっかりきくことが大事!」「何回も書いて覚えることこそ大事だよ」など、いろいろ意見はあります。しかしそれら全ては、「丸つけの大事さ」に行きつきます。
丸つけに対する意識を変えるだけで、勉強に対する様々な問題は改善されます。今回は勉強の中で一番大事な「丸つけ」について解説します。
「勉強の中で一番大事なのは、丸つけだ」
Aくんの例
ある生徒に「宿題やってる?」と聞くと、「やってますよ!」という元気な声。「そうかぁ、がんばっているね」とテキストを確認すると、確かに問題をやってはいます。しかし、丸つけをやっていない。「丸つけは?」と聞くと、「わすれました、てへへ」という様子。
このパターンは、やっている問題も雑です。宿題をやれと言われたからやりました、というレベル。当然のように空欄がありますし、それもそのままになっています。
Bくんの例
授業中みんなで、答え合わせをしています。「3番の答えを聞くよ。誰に答えてもらおうかな? じゃぁ○○くん」「~です」「はい、正解です」という感じで、順番にあてながら、それぞれの答えを言ってもらいます。
調子よくみんなが答えていく中、ある生徒に当てると、「え? 今何番ですか?」との返事。近くによって確認すると、丸つけをしていない。
このパターンは、勉強ができる子の方が多いように感じます。できる子は、どうせ全問正解しているだろうと思って、丸つけをおろそかにしているんじゃないでしょうか。
しかしこういう子は、授業も話のさわりだけ聞いて理解したつもりになっています。そして実際に問題を解かせると、見当違いなことや、おかしな手順でやっています。
そして丸つけをおろそかにしていますので、その見当違いに気づきません。そのまま先に進んでしまい、後でつまづく原因になるのです。
Cくんの例
ある生徒に入試問題を宿題として、1年分やるように指示します。そして翌週「やった?」と聞くと、「やりました」との返事。「それで、どうだった?」と聞くと、「いやぁ、難しかったです」と返ってきます。次の言葉を少し待ってみますが、どうやらそれで話は終わったようです。
そこで、やったという彼のノートを確認します。すると丸つけが雑です。○と×が入り混じって、ぱっと見て何が何やら良くわかりません。よくよく見ると、「ア」という文字の上に×をして、それに重なる形で赤ペンで「ウ」と書いてあったり、空欄の箇所には「238㎤」と赤ペンで正解を丸写ししたりしています。
このパターンで問題なのは、「質問」がないことです。「難しかった」なら「この問題がわからないので、教えてください」と、質問があるはずです。それがないのは、彼はすべて解説を読んで理解できる天才なのでしょうか。そんなことはありません。雑にやったので、間違っていても気にならないんでしょう。
上記3人の例は、みんなそれなりに勉強をしたつもりになっています。しかしその割に、あまり身についていないパターンです。そして彼らに、「勉強の中で一番大事なのは、丸つけだよ」と言うと、「はぁ?」という顔をされます。そこで、「まぁ、だまされたと思って、一回丁寧に丸つけをやってみなさい」と指示するのです。
ここで丸つけの話はいったん中断して、勉強が苦手になるスパイラルについての話です。
勉強が苦手になる、負のスパイラル
これは「卵が先か、ニワトリが先か」の話になりますが、「丸つけ」をしっかりやらないのは、問題を真剣に解いていないからです。さらにいえば、問題を真剣に解かないのは、授業を真剣に聞いていないからです。
「授業を雑に聴く → 興味がないから問題を雑に解く → 興味がないから丸つけは雑 → わからないところがわからないまま → 勉強が面白くないから、授業を雑に聞く」という負のスパイラルに入ってしまいます。
このスパイラルをどこかで断ち切らなくてはなりません。では、どこで断ち切りますか? おおもとの「授業」をしっかり聴こうと思うのなら、それは素晴らしいことです。
ただ、「授業をしっかり聴きなさい」といって、「よし聴くぞ」となりますか? そんな決意なんて、一瞬だけでしょう。じきに「あの先生の話、面白くない」とか「しゃべり方が眠くなる」とか、挙句の果てには「生理的に受けつけない」とか言い出して、授業を真剣に聴かなくなります。
「問題を真剣に解け」や「やり直しをしっかりしろ」も同様です。やらないといけないのは分かっています。ですが、その気にならないことってありますよね。そんな中、一番取り掛かりやすいのが「丸つけ」です。「丸つけをしっかりやりなさい」なら、「まぁ、そのくらいならやってみてもいいかな」と思えますよね。
ではいよいよ、正しい丸つけのやり方について、お話ししましょう。
正しい丸つけのやり方
とりあえず一問一問丁寧に、丸をつけていきます。問1、マル。問2、バツ。問3、マル……。一問一問にマルとバツをつけていきます。ただそれだけです。
マルバツをつける場所ですが、問題番号のところがおすすめです。自分の書いた答えの上にマルバツをつける人がいますが、そうすると後で、どう間違えたのかが見にくくなります。また正しい答を赤で写す必要もありません。単にマルとバツを問題番号のところに、しるしていくだけでいいです。
問題を解いた時の状況を思い出しながら丸つけをすると、なおよいです。そうすると、「おっ、この問題、結構考えたけど、正解していたぞ」や、「迷ったけど、やっぱり違っていたかぁ」など、いろいろ感想が出てくるはずです。これがとても大事です。
特に間違えた問題に対する「くやしさ」があるかないかで、その後の行動が変わります。
丸つけが終わったら
それで丸つけが終わったら、自分の解答をじっくり眺めてください。マルが連続する区間があれば、逆にバツが連続する区間があるかもしれません。あるいはマルとバツが交互になっている区間もあるでしょう。得意分野、あるいは不得意分野、理解しているようで曖昧にしている部分など、自分の出来具合が一目瞭然です。
するとどういう問題を間違えたのか、気になりませんか。どういう問題を間違えたのかが気になれば、問題に戻って確認しましょう。
「あー、この問題ね、わからなったから、てきとうに選んだんだよね」となるかもしれません。「あれ? これで合っていると思ったのになぁ」となるかもしれません。
そしてその後、「この問題、間違えていたのかぁ……じゃぁ、寝るかぁ」とはならないですよね。「じゃあ、正解って何なんだろう?」という疑問が浮かんでくるはずです。そして解答を確認すると、「何で答えがこれになるの?」と思うかもしれません。
すると解説を確認するでしょうし、解説を読んでわからなければ、先生や友達に質問することになります。間違えたことのくやしさがあれば、さらに「もう一度やり直してみよう」ともなるはずです。
こうなれば、先ほどの「授業を雑に聴く → 興味がないから問題を雑に解く → 興味がないから丸つけはてきとう → わからないところがわからないまま → 勉強が面白くないから、授業を雑に聞く」という負のスパイラルからは、脱することができるのです。
まとめ
勉強で一番大事なのは、丸つけだという話を書きました。
勉強方法を改善するのは難しいです。ただ、勉強方法を改善するにあたり、一番取り掛かりやすいのが「丸つけ」です。それは間違いありません。だから「勉強で一番大事なのは、丸つけだ」と言うのです。
まぁ、だまされたと思って、一回丸つけを丁寧にやってみましょう。
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