ツァイガルニク効果とは、何でしょうか?
ツァイガルニク効果(ツァイガルニクこうか、Zeigarnik effect)とは達成できた事柄より達成できていない事柄・中断している事柄を意識している状態。ツァイガルニック効果、ゼイガルニク効果、ゼイガルニック効果とも表記する。
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簡単に言えば、終わったことは忘れやすいが、終わっていないことや、中断されたことは記憶に残りやすいということです。
ではツァイガルニク効果の実例から、その勉強への応用方法を探っていきましょう。
世の中にあふれるツァイガルニク効果
恋愛におけるツァイガルニク効果
恋愛について、男は後々まで引きずるけれど、女の方はすぐ忘れてしまう、という話があります。よく耳にしますよね。ですがこの話、よくよく聞いてみると、振ったのは女性で、振られたのが男性だったなんてことがあります。
するとこの「引きずる」「引きずらない」の違いは、男女差ではなく、ツァイガルニク効果によるものではないかと思われるのです。
つまり振った側の女性にしてみれば、その恋愛は終わったものです。しかし振られた側の男性にしてみれば、その恋愛は中断されたものです。そのため記憶に残りやすいのです。
小説おけるツァイガルニク効果
小説などにもこのツァイガルニク効果を使っている例が見られます。それは章またぎの部分です。アガサ・クリスティーの「ポケットにライ麦を」から、関係しているような個所を引用してみます。
いよいよ、放蕩息子のご帰館か!
こんどは、パーシヴァル・フォテスキューの妻の話を聞く番だ。
ちょっと、わたしには解せないことがあるんです、フォテスキューさん ──
このように全部言わないで、途中で止めておいたり、ちょっと先の部分に触れて、そこで中断したりしています。何か気になりますよね。それによって印象が強められるというテクニックです。
テレビ番組におけるツァイガルニク効果
テレビ番組でもツァイガルニク効果はよく使われます。CMまたぎなどでよくありますよね。
「このあと〇〇の身に……!」といったあおりや、サッカーボールが蹴られて、それがゴールに向かっていくところで切られたり、ドラマでは「俺、お前に言わなければならないことが…」という場面でエンディングソングがかかるなどです。
このあと、どうなるの? と気になりますよね。これがツァイガルニク効果です。
勉強におけるツァイガルニク効果
さていよいよ勉強におけるツァイガルニク効果です。これについて思い出す生徒がいます。
彼はとても勉強がよくできる生徒で、その地区で最難関の高校に進学しました。本当に手がかからない生徒で、勝手に勉強して勝手に成績を上げていった感じです。月謝をいただいているのが申し訳ないくらいです。
その彼が自分の勉強方法について、言っていた話が次のようなものです。
僕は問題を解いていて、わからない問題があったら悔しいです。どうしてもわからない場合、それは飛ばして次に進みます。その分からない問題については、休み時間などちょっと手が空いたときに、再度考えます。答えは見ません。
それでもわからなかったら、しぶしぶ先生に聞きに行きます。
なんというか、負けず嫌いの彼らしいエピソードです。ポイントは「答えを見ない」というところです。これは効率の面ではよくありません。わからなければさっさと解説を確認してしまうのが、本当は効率が良いです。
ですが、ツァイガルニク効果という面では、どうでしょうか。解説を見てしまうと、それでその問題は解決してしまいます。彼の頭には残りません。未解決だからこそ、彼の頭にその問題が残り、いろいろと考え続けることができるのです。
スケジュール管理におけるツァイガルニク効果
定期テスト前には、ワークの提出が宿題になります。ページ数がかなり多いので、計画的に進める必要があります。
今日中に、数学のワークを6ページ仕上げないといけないとします。一気に全部しようとすると疲れてしまいます。なので、2ページごとに休憩を取ろうと考えます。これはいいでしょう。ですがその考え通り実行すると、どんなことが起こるでしょうか。
休憩明けに再びワークに取り組もうとしても、やる気が下がってしまうことってありませんか。休憩前のテンションがなくなってしまうのです。これは2ページやり切ったという達成感とキリの良さで、いったん勉強が終わってしまっているのが原因です。
ではツァイガルニク効果を応用してみましょう。
2ページきっちりやり切って休憩に入るのではなく、あえて少し残しておくのも一つです。あるいは、2ページやった後、3ページ目も少しやっておくという、あえて中途半端な状態で休憩に入るのです。するとその記憶が残っているので、次始めるときにはスムーズにスタートできるわけです。
まとめ
ツァイガルニク効果を使った勉強方法について考えてみました。
やり切ってしまうと、逆に忘れやすくなるというのは面白いですね。とはいえ中途半端な勉強をして、このツァイガルニク効果を言い訳にするのは良くありません。ちゃんとした意図をもって使うべきです。
またツァイガルニク効果は「予習」と相性がいいです。予習というと、何か大変なことをしなくてはならないような気がしますが、実はそんなことはありません。
今日学習するであろうテキストの、見出しや問題を眺めるだけでも予習になるのです。それをすることとで、ツァイガルニク効果によって記憶に残りやすくなるでしょう。何もしないのと比べると全然違いますよ。
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