「心理的リアクタンス」とは、選択の自由が奪われようとしたとき、それを回復しようとする心の働きのことです。この「心理的リアクタンス」は、勉強において妨げになることが多いです。しかしそれをうまく使って勉強のモチベーションを上げることも可能です。
今回は勉強において、心理的リアクタンスとうまく付き合う方法を考えてみましょう。
心理的リアクタンスに負けない方法
定期テスト前日のことです。テレビを見ていて、「そろそろ勉強をしようかなぁ」と考えていた時、親から「あんた、なにしてるの。明日テストでしょ、早く勉強しなさい!」と言われます。その瞬間に、勉強をする気がうせてしまいました。こういうこと、ありますよね。
これが「心理的リアクタンス」です。勉強をするかしないかは、自分が決めることです。他人から命令された瞬間、選択の自由を奪われたと判断してしまいます。そのためその自由を回復しようと、「勉強をしない」ことを選んでしまうのです。
親が「勉強しなさい」と言うのは、本能みたいなものです。それは仕方がありません。それを踏まえて、それによって引き起こされる「心理的リアクタンス」に、どう対抗すればよいのでしょうか。
目標・目的を明確にする
実は目標や目的がしっかりしていれば、心理的リアクタンスを真正面から打ち倒すことができます。
例えば「今回のテストは何が何でも90点を取る」という確固たる目標があるとします。そうすれば親から「勉強しなさい」と言われても、「そうだな、ちょうど勉強しようと思っていたんだ」という心持になるでしょう。
ですが、これはなかなか難しい。それができるくらいなら、親に「勉強しなさい」と言われる前に、勉強を始めているはずですからね。
計画を立てる
そこでおすすめは、しっかり計画を立てておくことです。あらかじめ「〇時から勉強を始める」と決めてさえおけば、親から何を言われようが、「心配しなくていいよ、〇時から勉強するって決めているからね」と返すことができます。そして自分が決めた時間通りに勉強を始めることができます。
もちろんこの計画は、自分がたてる必要があります。他人にたてられた計画では、自由が奪われたと考えて、そこでも心理的リアクタンスが起こります。自分の選択によって「〇時から勉強を始める」と計画することが大切なのです。
科目を選択する
また、やるべき科目を、自分で選択することによって、心理的リアクタンスを回避することができます。これは心理的リアクタンスを真正面から受け止めるのではなく、受け流す感覚です。「勉強をしなさい」と言われて、「そうだなぁ、じゃあ、英語の勉強をやってみようか」という感じです。
英語をするか数学をするかは、自分の選択です。勉強をするかしないかの選択ではなく、どの科目を勉強するかの選択に置き換えたのです。これで選択の自由は守られたので、心理的リアクタンスは起こりません。
似たようなことで「勉強しなさい」と言われて、「じゃあその代わりに、コーヒーを入れてよ」とお願いするのも手です。一方的に選択の自由が奪われたのではないと、自分に思わせるのです。
ポイントは「勉強をするかしないか」という選択に、真正面からぶつからないことです。
心理的リアクタンスを勉強に活用する方法
ここまで心理的リアクタンスに負けない方法を考えてきました。ですが、この心理的リアクタンスを逆用して、勉強のモチベーションを上げるやり方もあります。
例えば、苦手科目や、難しい問題に取り組んでいるとしましょう。あきらめそうになった時に、自分の嫌いな人の姿を思い浮かべるのです。そしてそいつにこう言わせてみましょう。
「おまえ、こんなことも理解できないの?」
そうすれば、「理解してやるぞ!」と心理的リアクタンスが発動して、取り組みに熱が入るかもしれません。
ただしこれは使用上の注意が必要です。下手に使うと暗示に負けてしまいかねません。精神状態が良いときに、劇薬的に使うのがよいでしょう。
コンプレックスや劣等感をばねに、のし上がっていく人は多いです。ボクシングのチャンピオンが、昔いじめられていたり、大きな会社の社長が、昔は貧乏だったりします。心理的リアクタンスをうまく使えば、そのような反発によって成長できるかもしれません。
まとめ
勉強において、心理的リアクタンスとうまく使き合う方法を考えてみました。
心理的リアクタンスは、勉強の妨げになるだけではなく、勉強の助けにもなりえます。自分の心理的リアクタンスを理解し、上手にコントロールすることで、より効果的な勉強法を見つけることができるのではないでしょうか。
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