シェイピング法とは、目的とする行動の変化にたどり着くための方法です。その方向で少しやりやすい変化をもたらす所から始め、徐々に目的に近づけて行きます。バラス・スキナーによって開発されたオペラント条件づけの一種で、行動療法のひとつでもあります。
さて、このシェイピング法を使って、無理なく勉強を進めるには、どうすればいいのでしょうか。
シェイピング法の具体例
例えば、犬に「コーンを回ってきて」という芸を教えたいとします。その場合、以下のようなステップに分けて教えます。
- コーンの近くに行く
- コーンに触れる
- コーンの周りを少し歩く
- コーンの半周を歩く
- コーンの一周を歩く
- コーンの一周を歩いて飼い主のもとに戻る
これらのステップは、犬の個性や能力に応じて調整します。犬がステップを達成したら、すぐに報酬を与えて行動を強化します。また、報酬としては、おやつやおもちゃ、褒め言葉などを使います。
このように「シェイピング法」とは、目標とする行動を小さなステップに分けて、そのステップを達成する度に報酬を与えるというやり方です。
シェイピング法を使った勉強方法
長期的な勉強スケジュール
英語を使って仕事をしたいと思いました。するとこのようなステップが考えられます。
- 英語の単語を10個覚える
- 英語の簡単な挨拶を覚える
- 英語の文章を読んで意味を理解する
- 英語の音声を聞いて内容を理解する
- 英語で自己紹介をする
- 英語で簡単な会話をする
- 英語で日記を書く
- 英語で本や映画の感想を書く
- 英語でプレゼンテーションをする
英語をマスターしたいと思い、0からいきなり海外留学に出かけるというのは無茶でしょう。(それで成功する人もいるかもしれませんが…)最終的に目標とするところを見定めて、それに向けてどのようなステップが必要かを考えます。
そしてステップを実行した後に、自分の成果や進歩を評価します。記録や反省などを活用したり、先生や友人などにアドバイスや励ましを求めたりしましょう。フィードバックは、自分の強みや弱みを把握し、次のステップに役立てるために必要です。
勉強をスタートするまでのシェイピング法
勉強をしなくてはいけないと思いつつも、なかなかやる気になれない。そういうことってありますよね。「勉強をはじめる」という目的にも、ステップがあるのです。
- 勉強机に向かう
- 邪魔になるものを片付ける
- やるべき課題を机の上に出す
- ページを開いて、ペンを握る
- やり始める
「勉強するぞ」と思ってから、実際に取り掛かるまでに、ハードルがいくつかあります。それらを意識して、一つ一つクリアするたびに、「よくやった」と自分で自分を認めます。そうすることで、行動が強化されます。
やり始めてから、エンジンがかかるまでのシェイピング法
勉強をはじめても、エンジンがかからない。ペンをクルクル回したり、ボーっとほかのことを考えたりと、なかなか集中ができない。それにも「シェイピング法」を利用して、段階を踏んでみるといいかもしれません。
- 百ます計算や、小テストなど、5分くらいでできる簡単なもの
- 漢字や英単語などの書き取り練習
- 計算問題や、一問一答形式の問題など
- 英語の長文問題といった文章題など、じっくり取り組む問題
- 間違えた問題の見直しなど
やるべき内容も、段階的にステップを設けると、取り組みやすくなります。最初は頭を使わない作業的な内容から、徐々に考えなくてはならない内容に移ります。そうすると、勉強に対するストレスが軽減されます。
また勉強時間ですが、普通は等間隔に休憩を入れることが多いです。ですが、シェイピング法を考えると、最初は5分、10分など短い間隔で始め、徐々に30分、1時間と長くしていくのもありかもしれませんね。
まとめ
シェイピング法を使った勉強方法について、いろいろ考えてみました。シェイピング法はステップを一つ越えるごとに、達成したことを認めるのが大切です。それによりストレスや挫折が少なくなります。
そう考えると、このシェイピング法には「指導者」がいた方が、進めやすいです。その指導者に「よく頑張っているよ」「ここまでできるようになったよ」とほめてもらいながら、一つ一つステップを越えていきます。
その「指導者」は学校や塾の先生かもしれません。あるいは友達や親かもしれません。あるいは SNS などを利用して、勉強のコミュニティに入り、勉強に対するフィードバックを受けるのも一つの方法でしょう。
シェイピング法は、目標達成に向けて自分のペースで進められるため、ストレスや挫折感が少なくなります。また、自分の成長や成功を感じられるため、自信や満足感が高まります。シェイピング法を使って、効果的に勉強してみましょう。
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