問題演習をしている時、ある生徒は調子よく、どんどん解き進めていきます。逆にある生徒は、全然問題が進みません。果たして、この差は何なのでしょうか。内容を理解しているかどうかの差でしょうか。
もちろんそれもあるでしょう。ですがそれ以外も、問題を解き進めるスピードに差ができる原因があります。実はそのカギは「消しゴム」です。
みなさんもちろん勉強をするときに、消しゴムを使いますよね。ですが、この「消しゴム」、本当に勉強に必要なのでしょうか。
問題を解くのが遅い子
計算をする枠を作る
こんな生徒がいました。
数学の計算問題を解かせていた時です。その問題はややこしい計算なので、途中式を書いて解く必要があります。その子はノートを開いて、そこに計算をすることにしました。これはいいでしょう。ですが、この後が問題です。
ノートを開いてまず何をしたかというと、ノートに線を引いて、計算スペースを区切りだしたのです。横に二本、縦に一本線を引きます。もちろん均等になるように、ちゃんと行数を数えます。そして、ページがきれいに6等分されました。
そしてその一つの枠に式を書いて、解き始めます。ですが、思いのほか式が長くなってしまいました。すると、枠には収まりません。そこで枠を修正します。6等分ではダメだと思ったのでしょう。4等分になるよう、線を引きなおし始めました。
そんなこんなしているうちに、手の速い子は指定の問題を解き終わっています。
計算スペースを作る
こんなこともありました。
テキストに問題が2問あります。ページの右半分に問1、左半分に問2です。そしてその問題それぞれの下に少しスペースがあり、計算ができるようになっています。
ある生徒が問題を解き始めます。問1のスペースに計算をしていきます。ですが計算を進めるうちに問1のスペースだけでは、収まらなくなりました。
そこで、問2の下にあるスペースも使うことにしました。そしてそのスペースを使い切って、ようやく問1の問題を解き終わりました。次は問2です。
ところが問2を解こうとしても、それを計算するスペースがありません。問2の下のスペースは、先ほど問1を解くときに使ったからです。
なので問2の計算スペースを作るため、先ほど問1でやったものを消しゴムで消して、問2を解き始めます。しかし、やはり問1と同様に、計算がスペース内に収まりません。そこで問1の下の途中式を消しゴムで消してスペースを作り、そこで問2の計算の続きを行います。
彼の様子を見ていると、鉛筆を握っている時間より、消しゴムを握っている時間の方が長いのではないかとも思います。
途中式を修正する
こういう子もいます。
計算問題を解いていて、あるところで手が止まってしまいます。様子を確認すると、どうやら答えがあり得ない数になってしまったようです。
そしてその途中式を見てみると、移項の時に符号ミスがありました。それを指摘すると、その子はその符号部分を消しゴムで消して、修正します。
途中式の符号に間違いがあったのですから、その後の式にも間違いがあります。それを1つ1つ消しゴムで消して、修正します。
ここの符号が「+」になるのだから、ここの符号は「-」になる。ということは、ここの部分の数字は「7」ではなく「3」になる。するとこの部分は…と消しゴムで、1つ1つ修正していくのです。
そしてチョコチョコ修正していくうちに、何をしているのかわからなくなって…
問題を解くのが速い子
その一方、手の速い子はどんどん問題を解き進めます。
彼はどうやって問題を解いているのでしょうか。彼は問題を見て、「計算スペースが足りないな」と感じたら、計算用紙を別に用意して、そこに途中式を書くようにしています。
それは何でもいいです。チラシの裏紙でも結構です。そして大きめの字で贅沢にスペースを使い、計算を進めていきます。
1問を解くために、裏紙1枚使うこともあります。もともといらない紙なので、ケチケチする必要はありません。
また計算を進めていて、少し前の部分で間違いがあったことに気づいたとします。そんなとき、わざわざその部分を消しゴムで消してやり直すなんてしません。ではどうするのでしょうか。
彼は別の計算用紙を用意して、その間違えた部分から新しい紙にやり直していきます。
そしてどんどん解き進めていき、他の子がもたもたしているのを尻目に、練習量を多くこなしていくのです。
勉強に「消しゴム」は必要ない
問題を解くのが遅い子と、問題を解くのが速い子のエピソードを紹介しました。その違いは何なのでしょうか。一言で言えば、「消しゴム」を使っているか使っていないかの差です。
はっきり言うと、練習問題を解いているときに、消しゴムは必要ありません。ただでさえ消しゴムで消すという作業に時間がかかります。さらにその消しかすを払うのにも時間がかかります。
消しかすがページとページの隙間に入ってしまい、それをとろうとしている人もいます。途中式を修正するのに勢い余って、隣の数字を消してしまう人もいます。そしてその消してしまった数字を書くという手間がかかります。
消したあと、消しゴムを机の端に置きますよね。そしてそれに手が当たり、消しゴムが転がっていきます。もちろん消しゴムを拾いに行っている間は、問題は先に進められません。
消しゴムは勉強に対して、このようなデメリットがあるのです。
まとめ
ということで、勉強に「消しゴム」は本当に必要か? という話を書きました。
もちろんこれは、消しゴムを絶対に使ってはいけないという話ではありません。提出物や、ノートをまとめるとき、図形問題でその図形に書き込んだ数字が違っている場合は、もちろん消しゴムを使って修正することはあります。その辺は臨機応変に対応しましょう。
ですが、普段の勉強を振り返った時、消しゴムを手にしている時間は、勉強が進んでいないこともまた事実です。書かないと勉強は進まないのですから、「消す」という行為は、むしろその逆です。
私がよく言うのは「ペンを手から離すな」です。常にペンを持っていたら、消しゴムは使いにくいですよね。なるだけ消しゴムを、使わずに済ませようとするはずです。
時間がかかっている割に、勉強が先に進まないという人は、思い切って消しゴムを使わずにやってみるといいかもしれませんよ。
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