勉強はどの時間帯にするのがいいのでしょうか。夜、寝る前にする方がよいのでしょうか。それとも早起きして、朝に勉強するのがよいのでしょうか。
入試が近づくと、この質問が多くなります。生活リズムを朝型に変えようという、意識の表れでしょう。ですが、この質問、少し的を外しています。
実は、勉強には夜にするべき勉強と、朝にするべき勉強があるのです。それをあいまいにしたまま、勉強をどの時間帯にするのがよいかを考えても、意味がないんですね。どういうことか説明していきます。
夜に勉強するメリット
勉強を夜にするメリットの一つは、集中しやすいことです。家族の人たちが寝静まったあと、勉強に取り組みます。すると物音がほとんどしません。
話を聞いていると、弟や妹がいる家庭ではうるさくて、彼らが起きている時間に勉強するなんて、とてもできたもんじゃないそうです。すると必然的に勉強時間は、夜遅くになります。
また、夜に勉強すると、勉強の後にするのは睡眠しかありません。勉強した記憶が、余計な経験で上書きされません。
睡眠中に記憶が整理されるという研究もあります。つまり寝ている間に、先ほど勉強した内容が整理されて、定着したり、取り出しやすくなったりするのです。
夜に勉強するデメリット
とはいえ、夜に勉強するデメリットがないわけではありません。
夜は一日の最後ですから、疲れているかもしれません。眠いなぁ、と思いながら勉強しても集中はできません。
また夜に頑張りすぎて、長時間勉強したとしましょう。すると睡眠時間が減ってしまいます。寝不足になって、次の日の学校の授業をボーっと受けてしまうかもしれません。本末転倒ですね。
朝に勉強するメリット
朝は一日の最初ですから、体力は有り余っています。もちろん睡眠の質にもよりますが、しっかり眠れているなら、疲れていることはないでしょう。
先ほど書きましたが、夜寝ている間に記憶は整理されます。つまり朝は、記憶が片付いた状態で勉強ができます。机の上が散らかっているのと、片付いているのを想像すればわかりますね。その意味でも、朝は勉強に適しています。
そして、これは夜勉強するメリットとも被りますが、家族が起きる前は静かです。誰にも邪魔されずに集中して勉強することができます。
また朝に勉強をしておくと、そこで脳が活性化されます。するとそのあと学校に行ったとき、いい状態で授業を受けることができます。一時間目の授業はボーっとしちゃうんだよなぁ、という人いますよね。それがなくなるかもしれません。
朝に勉強するデメリット
とはいえ、朝に勉強するデメリットがないわけではありません。
一つは記憶が上書きされることです。朝に勉強したとします。そのあと学校に行きます。すると友達と会ってあいさつしますよね。そしてなんだかんだと楽しく会話しているうちに、一時間目の授業が始まります。それが終わったころには、朝勉強した内容はどうなっているでしょうか。
学校は勉強以外にもクラブ活動があります。様々な出来事が起こります。それらに上書きされて、朝に勉強した内容はほとんど残っていないかもしれません。
夜に何をすればよいのか
夜と朝の勉強について、メリット・デメリットを書きました。それぞれいい面と、悪い面があるのです。それではもう少し具体的に、いつ何をすればよいのかを考えてみましょう。
まずは夜についてです。睡眠中に記憶が整理されると言いました。すると夜にすることは一つです。それは、今日学校で学習した内容の復習です。宿題が出されているなら、それが優先です。
宿題が出されていないとしても、定期テスト前にワークを提出しなくてはなりません。テスト直前に慌ててするのではなく、こういう時に授業の復習としてやっておくのがよいです。
すると今日学校でやった内容が、しっかり整理された状態で、次の日の授業が受けられます。学習内容はつながっていますので、前の内容が理解できていると、次の内容も理解しやすくなります。そうやって好循環が生まれます。
睡眠中に記憶が整理されるという点から、英単語など暗記物を夜にするのもよいです。とりあえず頭に叩き込むだけ叩き込んで、寝てしまいます。本当にこんなので覚えられるのかと、不安になるくらい雑な感じでいいです。次の日の朝に確認すると、雑にやった割に案外覚えているものです。
朝に何をすればよいのか
では朝には何を勉強すればよいのでしょうか。先ほど朝に勉強するデメリットとして、記憶が上書きされると言いました。では「記憶」以外の勉強をすればよいです。
つまり朝にする勉強は、覚えられているかどうかのチェックがよいでしょう。先ほども書きましたが、夜に勉強した内容が、覚えられているかどうかのチェックがおすすめです。
他には記憶が上書きされることを、メリットに変える方法もあります。朝に学校の授業の予習をすれば、学校の授業が記憶の上書きではなく、復習になります。
朝少し早く起きて、今日学校で学習するであろう教科書のページを開きます。そして「ふーん、こういうことをするんだなぁ」と、ながめる程度でも効果はあります。
脳を活性化させ、いい状態で学校の授業を受けたいなら、計算問題や、一問一答形式の問題もおすすめです。薄い問題集を用意して毎朝1・2ページ取り組むと、脳の活性化だけではなく、それが積もり積もって、何もしていない人と大きな差にもなりますね。
まとめ
「勉強をどの時間帯にすればよいのか」をテーマに書いてみました。
入試が近づくと、生活リズムを朝型にした方がいいとよく言われます。これは正しいです。ですが、その言葉だけをとらえる人がいます。夜の勉強をやめて、朝早起きして勉強をしようとするんですね。これは、的はずれです。
朝には朝の勉強があり、夜には夜の勉強があります。どの時間帯にするのかだけでなく、その時に何をするのかが大切なんですね。
ですから生活リズムを朝型にしたいのなら、夜の勉強を早くにスタートすることです。夜には夜にすべき内容がありますので、減らすことはできません。できるのは時間帯を前にずらすことだけです。そして早く寝た分早めに起きて、夜にした内容を朝に確認するといいですね。
さらに言えば、睡眠を8時間は取りましょう。記憶が整理されることを考えると、夜と朝の勉強は、寝ることを含めて一連の流れともいえるのです。
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