全体概要
平均点は58.80点→61.80点→53.81点→51.54点という推移です。今年度が一番低い点数です。
個人的には、問1Bがやや難しく感じました。問1は時間をかけずに行きたいところなのに、そこに少し考えさせられる問題が来るので、焦ってしまいそうです。逆に問4はわりと解きやすい内容でした。
問5は難しいという意見もありますが、個人的には解きやすかったです。ベタな話だなぁという感じです。小説を読みなれている人なら問題はなさそうです。ただ時間的に焦りが出始める第五問というのが、問題の感じ方に影響しそうです。登場人物の心情に寄り添う余裕が、なくなってしまうことがあったかもしれません。
トータルでの難易度は、去年と比べてさほど変わらないように思います。しかし文章量の多さに圧倒されたり、時間配分を乱されて焦ったりした人が、かなりいたはずです。そのために、平均点が下がったのではないでしょうか。
また一読では内容が理解しづらい内容だったり、発想を広げることで正解にたどりつくものだったりと、読解力を問われる問題が増えたようです。英語の力を単に測る試験ではなく、英語を使ってその人の総合力を測ろうとする意図がより感じられました。
教養
問6は論説文です。これはその知識があるとないとでは、内容の理解度に大きく差がでます。
今回は「時間の感知」と「唐辛子」の話がありました。
年を取るにつれ、一年が過ぎるのが速く感じるようになる、という話はよく耳にします。その理屈は調べればすぐに見つかるでしょう。またカプサイシンの抗菌性やダイエット効果、湿布にも使われていることなど、知っているか知らないかで内容の理解度が全然違ってきます。
もちろん、どの分野の話題が出題されるかは分かりません。しかしその意味でも、幅広い知識や教養を持っておくと有利です。
普段からアンテナを広げておき、興味があることは調べて、知識や教養を深めておくことが大事です。
イギリス英語
去年もそうでしたが、今年もイギリスが舞台の問題が複数ありました。イギリス英語とアメリカ英語では、単語の綴りが違うものがあります。
今年の単語では「realise (realize)」「analysing(analyzing)」が出てきました。これまでは「colourful(colorful)」「personalised(personalized)」「practise(practice)」「honour(honor)」「learnt (learned)」 が出てきました。
どれも字面や前後関係から想像がつくかと思いますが、慌てないようにしたいです。
イギリス英語が出てもあわてなくて大丈夫。字面や前後関係から判断しよう。
スピード
時間をかけて丁寧に見ていけば、どの問題も正解を導き出せそうです。しかし語数が多く、その時間が足りない印象です。一定の速さで右から左へ読み進められるように、あらかじめ練習しておくとよいでしょう。少々わからない語があっても、雰囲気読みで読み進めて大丈夫です。
長文をたくさん読んで、読むスピードを上げる練習が有効です。
ただ読み方が雑になってしまうと、「そんなことどこで言っていたっけ?」となります。すると、本文を探し回ることになり、余計に時間がかかります。ブログやウェブサイト、学校関連など身の回りの話題が多いので、当事者意識を持って問題に取り組むようにしましょう。
解答手順
また文章量が多く、1問1問にそれほど時間をかけられません。行き当たりばったりで問題にあたると、設問の該当部分を探すのに、本文を行ったり来たりしがちです。なので時間短縮のため、その問題がどのタイミングですべきなのかを、見極める必要があります。
本文を読み始めるより先に設問に目を通し、それぞれの問題の解答手順をあらかじめ想定しておきましょう。
題形式ごとの解答手順は、具体的には次のようしてみるとよいでしょう。
英問英答形式
設問にあるキーワードを頭に入れておき、それが本文に出てきたら、その周辺に設問の該当部分があると考え、問題にあたるのが基本です。
本文全体に設問の該当部分が散らばっている問題もあります。選択肢が短い場合は先に目を通しておくと、何度も本文を行ったり来たりしながら、探し回らなくて済みます。そして該当部分に出くわすごとに、設問にあたり、選択肢などにメモをします。
「事実」か「意見」かを問う問題は、選択肢の内容だけで絞ることができるものもあります。「意見」を選ぶ問題の場合、仮にそれが内容的に正しいとしても「事実」だと判断できるなら、その選択肢は消去することができます。
順序を答える問題
出来事が起こった順序に並び替える問題があります。ダミーの選択肢がない場合は、先に選択肢にも目を通しておくと、内容の理解に役立ちます。ダミーの選択肢がある場合は、それが誤った先入観になりかねないので、選択肢には目を通さない方がよいです。
本文全部を読んでから設問に取り組もうとすると、本文の最初の方の内容を忘れてしまいます。なので段落や、キリの良い場面で区切って選択肢に取り組み、その時点で出てきた内容の選択肢に番号をつけるとよいでしょう。
筆者の考えや、タイトルを答える問題
本文をすべて読み終わってから、最後に取り組みます。
内容一致問題
キーワードがある場合、その該当部分の段落を読み終わってから取り組みます。全体通しての問題なら、最後にするのが基本です。しかし一度にする自信がなければ、本文のキリの良いところ(場面や時間の切り替わり)でいったん問題に目を通し、その時点でわかる選択肢に◯×をつけておくのも一つの方法かと思います。
問1
A イベントの案内
先に設問を読んで解答手順を考えます。問1は「無料でイベントに参加するために~」とありますので、それを意識して本文を読めば、該当部分がすぐわかるでしょう。
問2は本文のリストにある太字のタイトルから、「食べ物」「言葉とコミュニケーション」「ダンス」という項目に分かれていますので、選択肢ごとに本文の該当部分を探すと良いです。
B ツアーの案内
問1は Yentonville に何があるかという問題なので、最後にするのが基本です。問2は三つのツアーに共通するものを選ぶ問題。先に選択肢にも目を通しておき、本文に出てきたら選択肢に印をしておくとよいです。問3は一番新しい施設を選ぶ問題。これも先に選択肢にも目を通しておき、本文に出てきたら選択肢に記入しておくのが基本です。
ただそうなると問2と問3を並行して行うことになってしまいます。それが難しいなら、問3の地名に関しては、とりあえず本文にチェックしておき、後ですばやく確認できるようにしておくなど工夫するのがよいでしょう。
問1を含めて、何度か本文を読み直すことになりそうです。時間をかけたくない問題ですが、それゆえに慌ててしまいそうです。「A」も含めて情報処理能力が問われる問題でした。
問2はこれまでなら「インドアとアウトドアのどちらも楽しみたい。どのツアーを選びますか」みたいな形式が多かったように思います。それを考えると今回の形式はかなり難しいと思いました。
問2
A クラブ入部案内
問1は全体から考える問題のように思えますが、実はリストの前の文だけで解けます。全部読んでからすると探し回る可能性がありますので、ある程度の区切りがついたら、選択肢に目を通すようにするのがいいかもしれません。
問2は設問を確認したときに、リストにある内容だと推測できそうです。リストに目を通したらすぐ取り組みましょう。問3は「意見」を選ぶ問題です。その選択肢の内容が正しいかどうかだけではなく、それが「意見」かどうかも考慮に入れると解答を絞りやすくなります。
問4は共通するものを選ぶ問題です。二つの部分を読んで答えるように思えますが、逆に考えると片方にないものはその時点で消すことができます。消去法を使って効率よく解き進めたいです。問5は全体を読んで考える問題ですが、ここまで解いてきたらもう内容は頭に入っているでしょう。
B 旅行保険
問1は基本的には全てを読んでからする問題です。ですが選択肢を確認すると「高額プラン」「安いプラン」「中レベルのプラン」とあります。なので、本文の該当するプランの説明を読んだら、その選択肢に取り掛かるとより効率良く解けるかと思います。
問2は「最も安い」とありますので、エコノミープランの説明が書かれてある段落が該当部分と判断ができます。問3は選択肢のコンビネーションを答える問題。組み合わせが限られていますので、一つがわかれば選択肢を絞ることができます。ここは工夫のしどころですね。
問4は筆者が選んだプランとありますので、それを意識すると該当部分がわかります。問5は全体を読んだうえで消去法で絞るのがよさそうです。正解の選択肢が完全に一致というわけではなく、しいて言えばこれだよなぁ、みたいな感じです。
問3
A フォトラリー
問1は写真を選ぶ問題です。本文の内容だけを素直に追って行けば、解けると思います。ただそれだと簡単すぎるのではないかと、「ルール」にある内容も踏まえてうがった見方でとらえてしまうと、余計な時間がかかるかも。
問2はブログのコメントとしてふさわしいものを選ぶ問題です。2つの選択肢で迷うところですが、解答の鍵は「ルール」にあります。「ルール」を一読してどういうイベントなのかを正確に想像できるかどうかがポイントです。
B バーチャルフィールドトリップ
問1は出来事の順序を答える問題です。全部読んでから一気やろうとすると、前半の内容を忘れることもあります。自信がないなら、半分ほどで区切って取り組むのがいいでしょう。
問2は当てはまらないものを選ぶ問題です。選択肢が短いし、その3/4が正しい内容ですから、先に目を通しておくと良いです。そして問1と同じようなタイミングで問題に取り組むと効率がいいですね。
問3は「On the way home」とありますので、本文のどこが該当部分かはすぐわかると思います。少しひっかけがありますので注意が必要です。
問4 教室のデザイン
問題文が「記事」「グラフ」「コメント」と分かれているので、設問の該当部分がどこなのかをしっかり見極めたいです。
問1は「SIN Framework」、問2は「Stimulation」、問3は「Naturalness」というキーワードを頭に入れて 本文を読むと、該当部分がすぐに見つかると思います。
問4と問5は「グラフ」と「コメント」を見て解く問題です。問1~3までが「記事」の内容だったので、その流れから想像がつくといいですね。
内容的にはそれほど難しくはないのですが、該当部分を探し回って、本文を行ったり来たりする可能性があるので注意したいです。
問5 Maki’s Kitchen
問1は出来事の順序を答える問題です。全部読んでから一気やろうとすると、前半の内容を忘れることもあります。自信がないなら、半分ほどで区切って取り組むのがいいでしょう。
問2はマキの年齢、問3はマキがタクヤとカスミにそれぞれ何をしたのかを答える問題です。先に Your notes を読んで、何を問われているか確認してから本文を読めば、該当部分を見つけるのはそれほど難しくないでしょう。
問4は「沈黙の理由」、問5は「皮肉」の意味を答える問題です。ここは少し読解力が必要です。登場人物たちの気持ちに寄り添いながら読み進めれば、想像がつけられるかと思います。
問6
A 時間の感知
問1、問2は Your note を見れば、どの段落が該当部分なのかわかりますので、その段落を読んだ後に取り組めばよいです。問3、問4も Your note に「Retrospective timing」「Prospective timing」とありますので、それぞれどの段落を読んだ後取り組めばよいかはわかりやすいです。
該当部分は分かりやすいので解答手順は大丈夫ですが、内容が少し難しいです。選択肢が選びやすくなっているものもありますので、本文だけで内容を理解しようとするのではなく、なんとなくの理解でも選択肢に目を移すといいかもしれません。
B 唐辛子の話
スライドの空欄を埋める問題。問1~問3については、先にスライドを見ておけば、それぞれの問題の該当部分が見つけやすくなります。問4は「そんなこと書いてあったかな?」とおもう選択肢でしたが、良く読めば確かにそのように解釈できる内容です。読解力が必要な問題でした。問5は全体のまとめになりますので、最後に解きます。消去法で絞るのが良いでしょう。
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