2023年度の大学入学共通テスト追試験英語第6問Bの解説をしています。疑問点が残らないよう、解き方の手順も踏まえて一問一問どこよりも丁寧に説明します。
問題
You are preparing a poster for an in-school presentation on a scientific discovery, using the following article.
Your presentation poster draft:
問1 You are checking your poster. You spotted an error in the basic information section. Which of the following should you remove?
- A
- B
- C
- D
- E
- F
問2 You are going to summarize the five-step process used to separate layers of graphite. Choose the best combination of steps to complete the process.
A. Do this process over and over again.
B. Fold tape in two again so another part of the tape touches the graphite.
C. Fold tape in two and pull it apart.
D. Place tape on the thinner flakes and press down.
E. Pull a flake of graphite off some sticky tape.
- C → B → A
- C → E → D
- D → C → B
- D → E → A
- E → C → A
- E → C → D
問3 From the list below, select the two which best describe graphene’s properties. (The order does not matter.)
- At average room temperature, it is the world’s most efficient material for carrying electricity.
- Gram for gram, graphene is stronger and more resistant to electricity.
- Graphene weighs slightly more than graphite per cm².
- It allows almost all light to pass through its structure.
- Its six-sided honeycomb structure allows gas particles to pass from one side to another.
問4 From this passage, which of the following might graphene be used for in the future?
- A material for filtering small gas molecules from large ones
- Developing light-sensitive chips
- Electricity resistant materials
- Increasing the weight and strength of batteries
問5 From this passage, we can infer that the writer ( 49 ).
- believed that many great Novel Prize-winning discoveries have been made with low-cost equipment
- knew about the potential of graphene to reduce the production cost and recharging times of rechargeable batteries
- was impressed by the fact that graphene and all its properties had lain hidden in every pencil mark until being revealed by Geim and Novoselov.
- was surprised at how long it took for Geim and Novoselov to realize the potential of using thin sheets of graphene in computer chips
解説 問1
Your presentation poster draft: の Basic information には、こうあります。
Graphene. . .
A. is a 2D material.
B. is a separated layer of graphite.
C. is an extremely thin sheet of metal.
D. is not a naturally occurring substance.
E. looks like a sheet of wire mesh.
F. was isolated without advenced equipment.
ここから当てはまらないものを選ぶ問題です。A から確認しましょう。
A. is a 2D material.
2Dの物質です
「2D」について、第四段落にこうあります。
It is one of the few two-dimensional (2D) materials known, and forms a six-sided, honeycomb-patterned structure.
それは知られている数少ない 2 次元 (2D) 材料の 1 つであり、6 面のハニカム パターン構造を形成します
この選択肢の記述は正しいです。
B. is a separated layer of graphite.
グラファイトの分離層です
第四段落にこうあります。
By 2005, they had succeeded in separating a single layer of graphite.
2005 年までに、グラファイトの単層を分離することに成功しました
この選択肢の記述は正しいです。
C. is an extremely thin sheet of metal.
非常に薄い金属板です
第五段落にこうあります。
Graphene is only one atom thick, and perhaps the thinnest material in the universe.
グラフェンは原子 1 個分の厚さしかなく、おそらく宇宙で最も薄い素材です
「薄い」ことは正しいです。ですが、グラフェンは「metal / 金属」でしょうか。
第一段落にこうあります。
It is made up of thin layers of carbon that can be easily separated
これは、簡単に分離できる薄い炭素層で構成されています
グラファイトは「炭素」でできています。つまりそこから作られるグラフェンは非金属です。この選択肢の記述が違います。
D. is not a naturally occurring substance.
自然に生じる物質ではありません
第四段落にこうあります。
As this does not exist naturally, this new material was given a new name: graphene.
これは自然界には存在しないため、この新素材にはグラフェンという新しい名前が付けられました
この選択肢の記述は正しいです。
E. looks like a sheet of wire mesh.
金網のシートのように見えます
これは Figure 1. Structure of Graphene の図を見れば一目瞭然ですね。
F. was isolated without advenced equipment.
高度な装置なしで分離されました
第二段落にこうあります。
Even though their university laboratory had the latest scientific equipment, they made their incredible breakthrough ─ for what was later to become a Novel Prize-winning discovery ─ with only a cheap roll of sticky tape.
彼らの大学の研究室には最新の科学機器がありましたが、彼らは、後にノーベル賞を受賞する発見となる驚くべきブレークスルーを、安価な粘着テープ 1 巻だけで実現しました
この選択肢の記述は正しいです。
ということで、正しくない選択肢は「C」なので、正解は「3」です。
炭素は金属ではないことを知っていれば、大丈夫ですね。理系に有利な問題だったかな。知らなかったら消去法で頑張ろう。
解説 問2
Your presentation poster draft: の How Gaim and Novoselov separated graphite (5 steps) にこうあります。
Step1. Press sticky tape on graphite and remove.
グラファイトに粘着テープを押し付けて取り外します
↓
Step5. Dissolve tape in a chemical solution and collect the flakes.
テープを薬液に溶かし、フレークを集めます
この二つのステップ間に入るものを、順番通りに選ぶ問題です。グラファイトの層を分離する手順は、第三段落にあります。
最初に来るのは「C」です。
C. Fold tape in two and pull it apart.
テープを 2 つに折り、そして引き離します
この内容は第三段落に、こうあります。
Next, fold the tape in half, sticking the flake onto the other side of the tape. Then pull the tape apart to split the flake.
次に、テープを半分に折り、フレークをテープの反対側に貼り付けます。それから、テープを引き離してフレークを分割します
次に来るのは「B」です。
B. Fold tape in two again so another part of the tape touches the graphite.
テープをもう一度 2 つに折り、テープの別の部分がグラファイトに触れるようにします
この内容は第三段落に、こうあります。
Fold the tape together once more in a slightly different position to avoid having the flakes touch each other.
フレークが互いに接触しないように、テープをわずかに異なる位置でもう一度折ります
次に来るのは「A」です。
A. Do this process over and over again.
このプロセスを何度も繰り返します。
この内容は第三段落に、こうあります。
Repeat this procedure 10 or 20 times, and you’re left with many very thin flakes attached to your tape.
この手順を 10 ~ 20 回繰り返すと、テープに非常に薄いフレークが多数付着したままになります
D. Place tape on the thinner flakes and press down.
薄いフレークにテープを貼り、押し下げます
E. Pull a flake of graphite off some sticky tape.
粘着テープからグラファイトのフレークを剥がします
この「D」と「E」二つの選択肢の内容は、記述にありません。
ということで、C → B → A の順番なので、正解は「1」です。
ダミーの選択肢が二つもあるのがいやらしいですね。実験の様子を思い浮かべながら手順を追っていくと、わかりやすいのではないかと思います。
解説 問3
選択肢を確認しましょう。
1. At average room temperature, it is the world’s most efficient material for carring electricity.
平均的な室温では、電気を運ぶための世界で最も効率的な素材です
「電気を運ぶ」について、第四段落にこうあります。
In fact, at laboratory temperatures (20-25℃), graphene conducts electricity faster than any known substance.
実際、実験室の温度 (20 ~ 25℃) では、グラフェンは知られているのどの物質よりも速く電気を伝導します
この選択肢が正解です。
2. Gram for gram, graphene is stronger and more resistant to electricity.
グラム単位で、グラフェンはより強く、電気に対してより抵抗があります
選択肢「1」で確認したとおり、グラフェンは電気を最も効率よく通します。「resistant」はありません。この選択肢は違います。
3. Graphene weighs slightly more than graphite per cm².
グラフェンは、1 cm² あたりの重さがグラファイトよりもわずかに大きくなります
グラファイトの層を分離したものがグラフェンですから、グラフェンの方が重くなるわけがありません。この選択肢は違います。
4. It allows almost all lignt to pass through its structure.
ほぼすべての光がその構造を通過します
「光の透過」について、第五段落にこうあります。
It allows 98% of light to pass through it
それは光の98%を透過します
「98%」はほぼすべてといって問題ありません。この選択肢が正解です。
5. Its six-sided honeycomb structure allows gas particles to pass from one side to another.
6面のハニカム構造により、ガス粒子が側面から側面へと通り抜けます
「ガスの通り抜け」に関して、第五段落にこうあります。
while at the same time it is so dense that even one molecule of helium gas cannot pass through it.
一方同時に、密度が非常に高いため、ヘリウム ガス 1 分子も通り抜けできません
ガスは通り抜けられません。この選択肢は違います。
ということで、正解は「1」と「4」です。
第四段落だけで解けるかと思わせておいて、第五段落にも該当部分がありました。解答手順を狂わされる感じですが、おちついて取り組みたいですね。
解説 問4
選択肢を確認しましょう。
1. A material for filtering small gas molecules from large ones
大きなガス分子から小さなガス分子をろ過するための材料
第五段落にこうあります。
while at the same time it is so dense that even one molecule of helium gas cannot pass through it.
一方同時に、密度が非常に高いため、ヘリウム ガス 1 分子も通り抜けできません
グラフェンはガスを通しません。この選択肢は違います。
2. Developing light-sensitive chips
感光性チップの開発
第五段落にこうあります。
It allows 98% of light to pass through it
それは光の98%を透過します
また第六段落にこうあります。
Quite simply, this material found in pencil lead has the potential to revolutionize the development of computer chips, rechargeable batteries, and strong, light-weight materials.
簡単に言えば、鉛筆の芯に含まれるこの材料は、コンピューター チップ、充電式バッテリー、および丈夫で軽量な素材の開発に革命をもたらす可能性を秘めています
「光を通す」と「コンピューターチップ」を組み合わせてかんがえると、この選択肢が正解です。
3. Electricity resistant materials
耐電材料
第四段落にこうあります。
It is also excellent at carrying electricity.
また、電気を運ぶ能力にも優れています
電気を通しますから、「耐電」には向いていません。この選択肢は違います。
4. Increasing the weight and strength of batteries
バッテリーの重量と強度の増加
「重さと強度」について、第四段落にこうあります。
In addition, it is possibly the lightest and strongest substance known on earth.
さらに、それはおそらく地球上で知られている最も軽くて強い物質です
「強度」については適しています。ですが軽いのですから、重量を増加するのに使用するのは変です。この選択肢は違います。
ということで、正解は「2」です。
本文の最後だけでは言い切ることはできませんね。別の部分と組み合わせて考えます。少し高度な問題でしたね。
解説 問5
選択肢を確認しましょう。
1. believed that many great Novel Prize-winning discoveries have been made with low-cost equipment
ノーベル賞を受賞した多くの偉大な発見は、低コストの機器で行われたと信じていました
第二段落にこうあります。
Even though their university laboratory had the latest scientific equipment, they made their incredible breakthrough ─ for what was later to become a Novel Prize-winning discovery ─ with only a cheap roll of sticky tape.
彼らの大学の研究室には最新の科学機器がありましたが、彼らは、後にノーベル賞を受賞する発見となる驚くべきブレークスルーを、安価な粘着テープ 1 巻だけで実現しました
確かに「低コスト」の機器で発見できました。ですが、これはこのグラフェンについてであって、その他のノーベル賞については書かれていません。この選択肢は違います。
2. knew about the potential of graphene to reduce the production cost and recharging times of rechargeable batteries
グラフェンが二次電池の製造コストと充電時間を削減する可能性を知っていた
第四段落にこうあります。
This has led to manufactures investing in further research because graphene-based batteries could last three times longer and be charged five times faster than lithium-ion batteries.
グラフェンベースのバッテリーは、リチウムイオンバッテリーよりも 3 倍長持ちし、5 倍速く充電できるため、メーカーはさらなる研究に投資することになりました
充電時間については正しいです。ですが、「the production cost / 製造コスト」について、書かれていません。この選択肢は違います。
3. was impressed by the fact that graphene and all its properties had lain hidden in every pencil mark until being revealed by Geim and Novoselov.
Geim と Novoselov によって明らかにされるまで、グラフェンとその特性すべてが、どの鉛筆の跡にも隠されていたことに感銘を受けました
第一段落にこうあります。
As the pencil rubs against the paper, thin layers of carbon are pulled off the pencil lead and left on the paper as lines or writing.
鉛筆が紙をこすると、鉛筆の芯からカーボンの薄い層が剥がれ、線や文字として紙に残ります
カーボンの層をはがして続けて、層が一つになったのがグラフェンです。一方鉛筆の跡は、カーボンの層がはがれてできます。日常目にしていてる鉛筆の跡が、実はグラフェンに繋がっていたのです。この選択肢が正解です。
4. was surprised at how long it took for Geim and Novoselov to realize the potential of using thin sheets of graphene in computer chips
Geim と Novoselov がコンピューター チップでグラフェンの薄いシートを使用する可能性を実現するのにどれだけの時間がかかったかに驚いた
第四段落にこうあります。
As graphite conducts electricity, it was only a matter of weeks before they were studying whether these thin sheets could be used in computer chips.
グラファイトは電気を伝導するため、これらの薄いシートをコンピューター チップに使用できるかどうかを研究するまでに、わずか数週間しかかかりませんでした
時間はかかっていません。この選択肢は違います。
ということで、正解は「3」です。
「3」が正しいと、直接言い切るのは難しいかもしれません。これは消去法で選ぶのが実践的ですね。
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