問1
問題次の英文は、地域の公開討論会で行われた高齢者問題についての議論の一部である。( )に入れるのに最も適当なものを、下の1~4のうちから1つずつ選べ。
問1
Chair : Today’s discussion is about how younger people should communicate with the elderly. We invited three panelists: Dr. McDonald, a medical doctor, and Mr. Johnson and Ms. West, who are researchers specializing in gerontology, or the study of the elderly. Mr. Johnson, can you start our discussion?
Mr. Johnson : Certainly. I often notice people communicate in a particular way with the elderly. People exaggerate their way of speaking, for instance, by using a loud voice. Sometimes people speak as if they were talking to a child, but I wonder if older people really like this. In my observations at senior centers, even doctors and nurses employ this particular way of speaking. However, I wonder if this is a good way to communicate with them.
Chair : That’s an interesting observation. You’re saying that ( ). What do you think, Dr. McDonald?
1. doctors and nurses often use too many technical expression
2. many elderly people are comfortable when they speak to doctors
3. medical professionals also speak differently to the elderly
4. some people can’t communicate without speaking like children
【解説】
話者の主張を読み解く鍵は2つあります。話し始めと終わり。そして逆接をあらわす単語の後ろです。それを踏まえて本文を見てみましょう。
「私は人々がお年寄りに対してしばしば特別方法でコミュニケーションをとるのに気づきます」
次は逆接の接続詞 but の後ろを見てみましょう。
「しかし、私はお年寄りの人々が本当にこれが好きなのかと不思議に思うのです」
文末の代名詞 this が何を指すのかが知りたいですよね。代名詞が指すものは基本的に直前の文にあることが多いです。そこで直前の文を見てみましょう。
「ときどき、人々は彼らが子供に話しているかのように話す」
なんとなく想像つきますね。お年寄りの方に子供言葉で話すというのは、たしかに良くあることです。
次の逆接をあらわす単語である However の後ろを見てみましょう。この文は最終文ということもありますので二重に大切ということになります。
「しかしながら、私はこれが彼ら (お年寄りの人々) とのコミュニケーションを取る方法としてよいかどうか不思議に思うのです」
代名詞がでてきました。やはり直前の文で確認しておくのがよいでしょう。
「私のシニアセンターでの観察では、医者や看護師でさえこの特別な話し方を使っている」
つまり this = this particular way of speaking = 子供に話しているかのような話し方。
なんかほとんどの文を訳してしまった感がありますが、どこの文をしっかり読むべきかは上記のとおりです。そしてそのとき代名詞など気になるものが出てきたとき、それが思い浮かべられなければ戻るという感じで読み進めればよいのではないかと思うのです。
では選択肢を見ていきましょう。
1. doctors and nurses often use too many technical expression
「医者や看護師はしばしばたくさんの専門表現を使う」
これは本文中の this particular way of speaking がわからなかった人に対しての、センター試験作成者からのトラップです。「この特別な話し方」は「子供に話しているかのような話し方」ですから違いますね。
2. many elderly people are comfortable when they speak to doctors
「たくさんのお年寄りの人々は医者と話すとき快適である」
そんなこと書いていないですね。ちなみに comfortable は「コンフォタブル」です。「コンフォータブル」ではありませんので注意です。2009年のセンター試験に出ていましたね。
3. medical professionals also speak differently to the elderly
「医療のブロもまたお年寄りに違った風に話をする」
これは本文のIn my observations at senior centers, even doctors and nurses employ this particular way of speaking. の内容と同じですね。
4. some people can’t communicate without speaking like children
「何人かの人は子供のような話し方なしでは、コミュニケーションが取れない」
えー・・・常識的に考えてそんなことはないでしょう。本文にも書かれていないしこれは違いますね。しかもこの選択肢には「誰と」コミュニケーションが取れないのかも書かれていないので、なおさらダメですね。
【正解】3
問2
問題次の英文は、地域の公開討論会で行われた高齢者問題についての議論の一部である。( )に入れるのに最も適当なものを、下の1~4のうちから1つずつ選べ。
問2
Chair : What do you think, Dr. McDonald?
Dr. McDonald : Well, as doctors, we have to be considerate when we talk to patients. We should adjust how we communicate with older people to make sure they understand what we say. Often, they can’t hear well, so it’s important to speak to them slowly and clearly. They need to understand us, so they can respond to questions we may have. I’m sure they’re grateful when they’re addressed in this manner. I feel that when you meet a person who appears to be old, you should always show consideration by speaking in such a manner.
Chair : OK. Dr. McDonald, with his professional experience, thinks that ( ). What are your thoughts on this point, Ms. West?
1. age has nothing to do with speech style
2. more intelligent words should be used
3. special attention should be paid to the elderly
4. the elderly should speak more slowly and clearly
【解説】
話者の主張は話し始めと終わりにあることが多い。
まずは最初の文から確認していきましょう。
「えーっと、医者として、私たちは患者と話しするときは思いやりを持つべきです」
そこからざーっといろいろ話をして・・・最後の文を見てみましょう。
「お年をめされているように見える人に会ったら、いつもそのようなやり方で話すことにより思いやりを示すべきだと、私は思うのです。」
気になる代名詞がでてきましたね。直前の文で確認してみましょう。
「このやり方で話しかけられたら彼らは感謝すると、私は確信します」
また代名詞がでてきましたね。さらに直前の文で確認してみましょう。
「彼らは私たちを理解する必要があります。それで彼らは私たちの質問に返答でするのです」
ん? やり方がここに書かれていませんね。確かに代名詞は直前にあることが多いのですが、そうでない場合ももちろんあるのです。さらに直前の文章を確認してみましょう。
「しばしば、彼らは良く聞こえません。それで彼らにゆっくり明瞭に話すことは大切なのです」
これですね。such a manner = to speak to them slowly and clearly ということです。ちなみにこの文中に important があります。「重要な」という意味ですが、やはり言葉の意味どおりこの単語があるということは重要なことがそこで言われている可能性が高いですね。
さぁ選択肢を確認してみましょう。
1. age has nothing to do with speech style
「年齢は話し方に関係ない」
そんなことは書かれていないですね。この議論のテーマはお年寄りに対してのはなし方ですから。
2. more intelligent words should be used
「より知的な言葉が使われるべき」
そんなことは書かれていないですね。まぁ、お年寄りは長く生きているからその分賢いので・・・ってことですか? 前問で「子供に対して話すような話し方」みたいな話題がありましたから、その流れの選択肢なんでしょうか?
3. special attention should be paid to the elderly
「特別な注意がお年寄りには払われるべき」
一番最後の文章がこれに当たりますね。正直言うと such が何を指すのかなんてわからなくても、この選択肢を選ぶことができそうでしたね。
4. the elderly should speak more slowly and clearly
「お年寄りはよりゆっくり明瞭に話すべき」
逆ですね。上の選択肢では受動態が使われているものがあったりしたので、そういう意味でヒッカケにきたのかもしれません。気をつけましょう。
【正解】3
問3
問題次の英文は、地域の公開討論会で行われた高齢者問題についての議論の一部である。( )に入れるのに最も適当なものを、下の1~4のうちから1つずつ選べ。
問3
Chair : What are your thoughts on this point, Ms. West?
Ms. West : I’m an older person myself, but I’m afraid I have to disagree with Dr. McDonald. He said he could tell who needs to be spoken to clearly and slowly from their appearance. I guess you base your judgment of older people on their slow movements, gray hair, and wrinkles. But that‘s a stereotype of the elderly. Some older people may not need any special adjustments during conversation. Rather, such adjustments may insult them. I don’t want to be addressed like that, or stereotyped in that way.
Chair : Thank you. Ms. West’s comments emphasize that our judgments of elderly ( ).
1. don’t determine our behavior
2. don’t hurt their feelings
3. should be based on their appearance and movements
4. shouldn’t be made without careful consideration
【解説】
話者の主張は話し始めと終わりにあることが多い。
まずは最初の文から確認していきましょう。
「私自身高齢者です。しかし私は残念ながらマクドナルドさんに反論しなくてはなりません」
マクドナルドさんというのは前問に出てきた人ですね。「お年寄りにはゆっくり明瞭に話しかけるべきだ」と言った人です。その人に反対というのですから、どういうことか大体わかりますね。しかも [but] という逆接の接続詞の後になっていますのでこれがこの人の主張ということです。
次は中盤にある But の後ろを見てみましょう。
「しかし、それはお年寄りの固定観念です」
代名詞が出てきました。直前の文で確認してみましょう。
「お年寄りの判断が、彼らのゆっくりな動き、白髪、そしてしわに基づいていると、私は推測します」
that = their slow movements, gray hair, and wrinkles ですね。
ちなみに guess は少し弱いですが、主張をあらわす言葉でもありますので、重要かも知れないという気持ちでこの部分は丁寧に読む必要があるかもしれません。
最後の文を見てみましょう。
「私はそのように話しかけられたくないし、またそのようなやり方で固定観念にとらわてもらいたくない」
代名詞が出てきましたが、だいたいわかりますね。「そのように話しかけられたくない」の「そのように」は「ゆっくり明瞭に話す」やり方でしょうし、「そのようなやり方で固定観念に・・・」の「そのような」は「ゆっくりな動き、白髪、そしてしわ」で判断されるやり方ですね。
選択肢を見てみましょう。
「私たちのお年寄りの判断は・・・」
に続く言葉ですね。 ということはヒントは
高齢者の動きの遅さ、白髪、しわに基づいて判断していると思います。
の文にあるかもしれませんね。
1. don’t determine our behavior
「私たちの行動を決定しない」
本文にこうあります。
「見た目から明瞭にゆっくり話すべき人が誰かを見分けられると言いました」
うーん・・・どうでしょう・・・。ということはお年寄りだと判断すると「明瞭にゆっくり話す」という人がいるわけで、「私たちの行動を決定しない」と一般論として言われると違うような・・・
2. don’t hurt their feelings
「彼らの感情を傷つけない」
本文に
「そのような調節は彼らは侮辱する」
とあります。ですのでダメですね。実際にウエストさんが傷ついている感じですね。
3. should be based on their appearance and movements
「彼らの見た目と行動に基づくべきだ」
should という助動詞は「主張」を表します。ウエストさんはそんなこと言っていませんよね。むしろ逆です。もしこの選択肢に should がなかったら、一般論としてありだったかもしれませんね。
4. shouldn’t be made without careful consideration
「注意深い考えなしに作られるべきではない」
最終文の I don’t want to be addressed like that, or stereotyped in that way. にもあるように、ウエストさんは固定観念で判断されたくないと言っているのですから、これが正解でしょう。ただ、この最終文だけで判断するというより、ウエストさんの発言全体から判断される感じですね。
【正解】4
これまでの第3問Bは、発言の最初と最後の文だけで選択肢を選べることが多かったです。しかし今年は代名詞などが使われたりして、全体から判断しなくてはいけなくなっている感じがしました。
とはいえセンター試験では時間効率が大切になりますので、しっかり意味を取らなくてはならない文と、さらっと流して読んでよい文を見分ける必要はあります。その意味で第3問Bにおいて、やはりパラグラフリーディングは重要なテクニックであることは間違いないでしょう。
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