リスニングと言えば、話されている内容をしっかり聞き取り、かつその内容を理解する必要があると思うかもしれません。もちろん理想はそうあるべきです。ですが、私たちも日常で話をするとき、一語一語全ての言葉を完璧に聞き取っているでしょうか。もちろんそんなことはありません。
電車の乗換案内でも、自分の関係ないところは流し聞きで、関係するところだけ集中しますよね。友人との会話などで良くありますが、話半分で聞いていても、ポイントだけ押さえて話を合わせることとかありませんか。
共通テストのリスニングも同様で、全てを完璧に聞き取る必要はありません。むしろ音声の中から余計な情報は聞き流して、必要な情報だけを選び取ることが大切です。
つまりリスニングの準備とは、流れる音声の中から何の情報を得なければならないのかを、あらかじめ把握しておくことです。それを踏まえて以下の解答手順を参考に、自分なりのリスニング方法を工夫してもらえたらと思います。
「第1問A」の解答手順
日常会話的な音声が2回流れます。音声の内容を話している人を、頭に思い浮かべながら聞くといいでしょう。決まり文句や印象的なフレーズを話すことが多いので、そのイメージを頭の片隅に置きながら、選択肢を確認します。
選択肢のほとんどが「The speaker …」という形なので、音声のイメージと一致するかどうかで正解を選びます。一発で絞り切れなければとりあえず絶対に違う選択肢に「×」をつけておき、2回目の音声に備えます。
先に選択肢を確認しておく方法は、諸刃の剣です。問1であれば、問題説明の時間がありますので、選択肢にじっくり目を通すことができます。その結果落ち着いて音声を聞きながら、正解を選べるかと思います。
しかし問2以降になると選択肢に目を通す時間がそれほどありません。中途半端に目を通して、余計な情報を持って音声を聞いたり、あるいは音声が流れだしているのに、まだ選択肢を読んでいたりすると本末転倒です。
基本的には先に音声を聞いて、後でそれと選択肢を照らし合わせる感覚です。
「第1問B」の解答手順
音声の内容と合っている絵を選ぶ問題です。先に絵に目を通しておき、音声を聞く前にそれぞれの絵の違いを確認しておきます。
そしてその違いを踏まえて、音声を聞きながら選択肢を絞っていきます。音声は2回流れます。1発で正解を絞り込む必要はなく、1回目で二つに絞り、2回目で決めるくらいの気持ちでやるといいと思います。
「第2問」の解答手順
2人の対話が流された後、それに続いて問いが流されます。その問いの答えとして適切なものを選ぶ問題です。選択肢は絵に振られていますので、第1問Bと同様に先に絵に目を通しておき、音声を聞く前にそれぞれの違いを確認しておきましょう。
第1問Bとの違いは、2人での対話である点と、対話後に「問いの英文」が流れる点です。この問題で一番のポイントはこの「対話後の問いの英文」です。何について聞かれているのかを、ここでしっかり把握しましょう。その問いの答えを、2回目の対話文の中から探るという感じです。
つまり音声は2回繰り返されますが、1回目の対話とその後の問いの段階では、解答できなくてもかまいません。あくまで本番はその後、2回目の対話文だと思うと、落ち着いて問題に取り組めるのではないでしょうか。
もちろん勘のいい人なら、絵と会話の流れから、どういう「問い」がくるのかあらかじめ予想がつくかもしれません。ですが結局1回目の対話文の時には、こういう問いになるだろうという予想で聞いているため、問いに必要な情報以外の部分にも気がいっているはずです。
なので「問い」の内容を踏まえて、2回目の対話文から必要な情報を探るのが、本番であることに変わりありません。
「第3問」の解答手順
第3問以降は、音声は1回しか流れません。
対話を聞き、問いの答えとして最も適切なものを、選択肢から選ぶ問題です。選択肢の上に「対話の場面」が日本語で書かれてあり、「問い」が英語で書かれてあります。音声を聞く前に、それらに目を通しておきましょう。
特に「問い」は大切で、何について問われているかを把握したうえで音声を聞くことで、対話の中から正しい情報を選ぶことができます。「男性」がすることを問われているのか、「女性」がすることを問われているのかでは、必要な情報は全く違います。
そして「対話の場面」は、その状況をイメージするのに役立ちます。そのイメージによって、それが解答の助けになることもあります。
「第4問A」の解答手順
話を聞いて、4つあるイラストの順序を答えさせたり、表やグラフの空欄を埋める問題です。どちらの形式も、話を聞きながらメモを取る作業をします。
イラストの順序を答える問題は話を聞きながら、話題に関するイラストに番号を振っていきます。話を聞く前にイラストごとに何をしているかをさらっと確認しておくと、話題に出てきたときにすぐ気づいて番号を振ることができます。カルタの要領です。
表やグラフを埋める問題も、話を聞く前に目を通しておきます。表に関しては、それがどういう分類になっているのかを、先に把握しておくのがいいでしょう。グラフについても、「こことここが倍くらいちがうなぁ」とか「少し増えているなぁ」とか軽く分析しておくと、話を聞くときの助けになります。
「第4問B」の解答手順
話を聞き、示された条件に最も合うものを、選択肢から選ぶ問題です。時間が与えられますので、この時にその条件をしっかり頭に叩き込みます。あとで「二つ目の条件って何だったっけ?」と、確認しなおす時間はありません。
話を聞きながらその条件に合う、合わないを判断していきます。表が用意されていますので、そこに「〇」「×」「△」の印をつけていくのがいいでしょう。最終的にはその表に「〇」が三つ並ぶものが正解になります。
「第5問」の解答手順
講義を聞いて、問いに答える問題です。音声が流れる前に時間が与えられますので、その間にワークシートに目を通して、注目すべき語(キーワード)を想定しておきます。またそのワークシートに関する問題の選択肢にも、この時に目を通しておくと良いでしょう。
特に後半の表的なものに選択肢を当てはめる形式は、「選択肢のこれとこれは、表のここかここのどちらかに入りそうだ」と、事前にある程度想定できます。
ワークシートの部分以降の設問に関しては、この段階では目を通す必要はありません。その時間はないでしょうし、また余計な情報を入れると混乱する可能性があるからです。
まずは講義を聞きながら、ワークシートを完成させることに集中します。講義はワークシートの順で進みますので、最初にワークシートに目を通した時の印象を確認、あるいは修正する感覚で講義を聞きます。そしてワークシートが完成したときに、講義の内容が理解できているのが理想です。
そうなれば、次の問題は「講義の内容と一致するものを選べ」という問題なので、その流れで解くことができます。ただ正直難しいので、「こんなこと言っていなかったよなぁ」という感じで消去法で絞っていくのが実践的だと思います。
その後音声の続きが流れますが、この部分はそれほど真剣に聞く必要はないかもしれません。グラフと選択肢だけでかなり絞れます。そして講義の内容も踏まえてチェックするという感じです。なのでもし余裕があれば、続きの音声を待たずに取り組んでもよいです。
「第6問A」の解答手順
二人の対話を聞き、問いの答えとして最も適切なものを選ぶ問題です。音声が流れる前に時間が与えられますので、その間に「状況」と「設問」を確認しておきます。選択肢には目を通さなくて良いです。
特に設問では「誰」の「何」が問われているのかが大切です。対話ですから二人います。あとで「どちらの話だったかな?」とならないよう、先に必要な情報が何なのかをしっかり把握しておきましょう。
「第6問B」の解答手順
四人の会話を聞き、問いの答えとして最も適切なものを選ぶ問題です。ある事柄について賛成している人は何人いるかという問題と、ある人物の考えの根拠となる図表を選ぶ問題があります。
登場人物の表がありますので、そこにメモを取りながら会話を聞きます。と言っても細かいメモを取る必要はなく、最初に確認した話題について「賛成か」か「反対」かを記していくだけでよいです。あらかじめそれ用の記号を決めておくといいでしょう。ただ会話の途中で意見が変わる場合もありますので、そこは臨機応変に対応します。
また直接「賛成」か「反対」かがわからなくても、前の発言者に対して同意しているかどうかは判断がつく場合もあります。それについては前の発言者の欄から矢印を伸ばして、「→〇」や「→×」といった印をすると、後で確認しやすくなります。
ある人物の考えの根拠となる図表を選ぶ問題についても、音声が流れる前に「誰」の考えなのかを先に把握しておきます。そして登場人物表の名前に印をするといいです。その人物の箇所には、会話を聞いているとき、気になるワードをメモしておくのもいいかもしれません。
またそのメモがきちんと取れていなくても、会話を聞くときペンは登場人物の表にあります。すると該当する人物が発言しているときは、その印も目に入ります。そしてその人物が発言している内容にも注意が行き、問題を解くときにも頭に残っている可能性が上がるかもしれません。
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